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十二話 ミコト
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今より約五百年前、ミコトと妖キツネ達は、鬼才と名高い、若い式神師幾多 幻斎と言う者に、大きな石の中に閉じ込められる。
「ミコトよ、しばらくの間、この石の中で辛抱しろ」「悪しき力が、失うその日迄」「俺はお前達の、魂を奪い去る事はしない」「お前が、良き行ないをすれば、妖ギツネ達を解放する事を約束する」
幾多 幻斎との約束を守り、生き抜くミコトは、今まで一度足りとも、人間に憑依し、その命を脅かす様な行為を、行った事など無いのだが
文華の瞳の奥に、ミコトの姿を数日前ヤツメは見ていた。
「あらあら」「そんな怖い顔しないのヤツメ様」ミコトは艶ぽい声を出し、まるでヤツメをからかうかの様に、ニッコリと微笑む
「何ニヤついてる」「解かっているのか」「あやかしが、人に憑依するその行為は」
「対象者の寿命を、脅かす可能性を秘めている」
「知ってますよ」「だからこそ、文華さんに憑依したのよ」
「どう言う事だ?」「説明してくれないか」
「文華さんの瞳に、憑依している悪しきもののけは、彼女の涙を我が力にし、寿命を削りとる」
「つまり、彼女は涙する事は、許されない」「涙を流さなければ、彼女は救われる」
「私が、彼女に憑依した目的が、解ってくれたかしら 」
そうミコトは、ワザワザ文華の瞳に憑依し、何が原因で悪しき力が膨れ上がるのかを、確かめに出向いていた。
「疑う様な事を言ってすま無かった」
「ふふふ」「大丈夫よヤツメ様」「しかし余り時間が無いよ、お急ぎください」
「ミコトよ、一つ聞きたい」「文華の涙、流さなぬ方法を教えてくれな無いか」「頼む」
「ふふふ」「簡単じゃな~い」「恋文筆弁士のヤツメ」「彼方なら出来るでしょ」
「なるほど、文字の力か」
「そう、全ての文字には力が有るのよ」「時として、人の命をも、簡単に奪い去る程の力が」「その力を持ってすれば、容易く事」「ヤツメ様なら、きっと救えるわ」
ヤツメは、すすりに水を数的垂らし、墨をすり、筆を手に持つ
「悪しき力を振るうもののけより、我が最愛なる者を守って欲しい」
「恋ギツネよこの筆に憑依してくれないか」
ヤツメの強い気持ちに、恋ギツネは踊り出し、有りっ丈の力で、筆を走らせる。
強く、しなやかに、文字を書き、更に優しく絵を描き添える。
最良の恋文を、描き終えた恋ギツネは、ヤツメに向かいニッコリと微笑み、その姿を消す。
「いつもすまんな、恋ギツネよ」
ヤツメは、文華がいつも同じ時間に、ここに訪れる夕暮れを待つ
しかしこの日、文華は姿を見せる事は、無かった。
「ミコトよ、しばらくの間、この石の中で辛抱しろ」「悪しき力が、失うその日迄」「俺はお前達の、魂を奪い去る事はしない」「お前が、良き行ないをすれば、妖ギツネ達を解放する事を約束する」
幾多 幻斎との約束を守り、生き抜くミコトは、今まで一度足りとも、人間に憑依し、その命を脅かす様な行為を、行った事など無いのだが
文華の瞳の奥に、ミコトの姿を数日前ヤツメは見ていた。
「あらあら」「そんな怖い顔しないのヤツメ様」ミコトは艶ぽい声を出し、まるでヤツメをからかうかの様に、ニッコリと微笑む
「何ニヤついてる」「解かっているのか」「あやかしが、人に憑依するその行為は」
「対象者の寿命を、脅かす可能性を秘めている」
「知ってますよ」「だからこそ、文華さんに憑依したのよ」
「どう言う事だ?」「説明してくれないか」
「文華さんの瞳に、憑依している悪しきもののけは、彼女の涙を我が力にし、寿命を削りとる」
「つまり、彼女は涙する事は、許されない」「涙を流さなければ、彼女は救われる」
「私が、彼女に憑依した目的が、解ってくれたかしら 」
そうミコトは、ワザワザ文華の瞳に憑依し、何が原因で悪しき力が膨れ上がるのかを、確かめに出向いていた。
「疑う様な事を言ってすま無かった」
「ふふふ」「大丈夫よヤツメ様」「しかし余り時間が無いよ、お急ぎください」
「ミコトよ、一つ聞きたい」「文華の涙、流さなぬ方法を教えてくれな無いか」「頼む」
「ふふふ」「簡単じゃな~い」「恋文筆弁士のヤツメ」「彼方なら出来るでしょ」
「なるほど、文字の力か」
「そう、全ての文字には力が有るのよ」「時として、人の命をも、簡単に奪い去る程の力が」「その力を持ってすれば、容易く事」「ヤツメ様なら、きっと救えるわ」
ヤツメは、すすりに水を数的垂らし、墨をすり、筆を手に持つ
「悪しき力を振るうもののけより、我が最愛なる者を守って欲しい」
「恋ギツネよこの筆に憑依してくれないか」
ヤツメの強い気持ちに、恋ギツネは踊り出し、有りっ丈の力で、筆を走らせる。
強く、しなやかに、文字を書き、更に優しく絵を描き添える。
最良の恋文を、描き終えた恋ギツネは、ヤツメに向かいニッコリと微笑み、その姿を消す。
「いつもすまんな、恋ギツネよ」
ヤツメは、文華がいつも同じ時間に、ここに訪れる夕暮れを待つ
しかしこの日、文華は姿を見せる事は、無かった。
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