196 / 213
孤児と大罪を背負う英雄
196
しおりを挟む
「あぁー…しんど…疲れたよ」
孤島を探索すること数時間が経ち何かしらしたらここの事がわかるかもと思っていたのだがあんまり進展もなくついに私は探索に飽きて釣りをしてしまっていた。
何せせっかく海に潜ってこの孤島の周辺を泳いでみたのに何もないのだから探索する気もなくなるってもんだ。
だがまぁ思ったんだが…おそらくこの模様自体の魔力の効果は何となく理解出来たはず。
ちょいと劣化してて分かりずらいが水属性と闇属性の魔力を纏っている。
何の魔法が込められているのかは分からないが海に潜った時魚がいっぱいいたから魚を集める効果なんじゃないかと思う。
「その魚にコイツらも含まれているとは思わなかったけどね…」
私は海の方を向きながらそう呟いた。
ここの海域は海上国家とは少し違うようで海の下まで透き通って見えるほど海は綺麗ではないからこのままでは見えないが海に潜るとその光景が見えてくる。
海の中…それもこの孤島を支えるようにして土台となっていたのは魚人族の死骸だった。
死骸が積み重なってそこに上から土が重なったことでこの孤島は作られていたというわけだ。
この死骸がこんなに積み重なるほどあの神殿の地下から連れてこられたというわけなのかはたまた他の理由があってこのようになったのかは分からないがこの孤島は異常だというのは確かだ。
表面は魚人族の骨だけになっていたがよく見ると奥の方では心臓が鼓動を起こすようにその肉塊がドクンドクンと脈動しているように見えまだ生きているかのような錯覚さえ覚えた。
いや…もしかすると新しい生命が生まれている最中なのかもしれない。
こういうファンタジーの世界で冒険者をしたからこそわかるが人の怨念だかが集合すると碌なことにならない。
人が死んだ後放置すると魔素が集まりゾンビになってしまうというのも恨みつらみが集まりスペクターという幽霊系の魔物になるっていう事象もあるのだからあり得ない話ではない。
「名付けるなら…フィッシュフレッシュゴーレムとかそんな感じかな」
フレッシュゴーレム自体別に幽霊系の魔物と関連性は無いが…コレ以外にいい呼び名が思い浮かばない。
それにしても…さっきまで晴れていたのに急に雲が出てきたせいで不穏な空気が立ち上っているように感じる。
「雨が来たら困るなぁ…」
雨が来たら当然波が迫ってくるように高波となるだろうし船で移動しにくくなる。
私が動かす船は手で漕ぐタイプだから体力勝負になるだろう…となると当然の如く体力のない私に勝ち目がなくなってしまうわけで。
いやまぁ飛翔使えばどうにか街には戻れるんだけどね?
とりあえずこの際に釣り上げた魚の料理を作ることにした。
暴食が最近は調子がいいようで何もしなくても腹が空いてくる…そのせいもあってか料理の備蓄がどんどんなくなっていくのだ。
この際に私も料理を学ぶことでもし飽食の胃袋が使えない状況でもそこら辺の草とかで料理を作る事ができるようになりたいというわけだ。
ちょうど図書館で料理の本も読んだし…おそらくいけるはずだ。
色鮮やかな魚のスープは…まぁ料理の本には書いてなかったからしょうがないとして書いてあった料理はいけるはずだ。
何せレシピは覚えているのだから!
「虚空庫から調理鍋とか包丁、まな板を取り出して…と。さてレッツクッキング!」
そう言い放ち私はまな板に載せた魚に向けて包丁を振り上げた。
…少女調理中…
何時間時が進んだろうか?
陽は落ち始め夕暮れが訪れポツポツと雨が降り始めてきた。
コレぐらいの雨が続いて大雨にならなければ楽に街に戻ることも叶う事だろう。
「はぁはぁ…コレが私の全力!」
そう呟きながら大きな貝殻を加工して作られた食器に入った料理を眺める。
その数ゆうに10を超える料理が並べられておりどれも色とりどりの食材が使われている。
「知識さえあれば料理は作れる!…そう思っていた時期が私にもありました」
一口並べられた料理の味見をすると魚本来の青臭い味がしたり生焼けだったようでグジュッとした食感を味わえる。
しかもだそこにこうすれば上手くなるだろうという私のアレンジが追加されており要らぬ塩や香辛料まで入っているから非常に辛かったりしょっぱかったりする。
そうこの私ことレナは料理は前世でもした事が手で数えられるほどしかした事がない。
せいぜい作れるのは作られた麺に適当に野菜と肉を加えソースと和える漢料理の焼きそばぐらいなものだ。
それ以外は当然レトルトか惣菜や現代の至高であるカップラーメンぐらいなもの。
「あぁ…あの頃が恋しい」
今になって私はあの世界に帰りたいと思ってしまう。
料理…それは私にとって難敵であったのだ。
冒険者の最高峰に近く超人と謳われるAランクの敵は料理であった。
そうして私は散らかした器具を虚空庫にぶち込み腹を満たしたところでそれは唐突に起こった。
ここでもわかるほど大きな気配が急に現れたかと思うと雲が月と僅かに見える太陽を陰り雨が強くなっていく。
雲は黒く染まり雷を落とし海はそんな状況をさらに悪くしようと呼応するように全てを飲み込む渦を作り出す。
それによって表面に出てきた魚は飲み込まれ身体が捻じ切られ弾かれたそうにその身体の一部が空を舞う。
明らかな異常だと感じ飛翔で逃げようとしたその時になり雨によって海は荒れた高波を孤島に押し寄せてくる。
私はその高波から逃げようとするがもう遅く…気づいた時には簡単にその海の波は眼前に。
私は波に飲まれてしまっていた。
孤島を探索すること数時間が経ち何かしらしたらここの事がわかるかもと思っていたのだがあんまり進展もなくついに私は探索に飽きて釣りをしてしまっていた。
何せせっかく海に潜ってこの孤島の周辺を泳いでみたのに何もないのだから探索する気もなくなるってもんだ。
だがまぁ思ったんだが…おそらくこの模様自体の魔力の効果は何となく理解出来たはず。
ちょいと劣化してて分かりずらいが水属性と闇属性の魔力を纏っている。
何の魔法が込められているのかは分からないが海に潜った時魚がいっぱいいたから魚を集める効果なんじゃないかと思う。
「その魚にコイツらも含まれているとは思わなかったけどね…」
私は海の方を向きながらそう呟いた。
ここの海域は海上国家とは少し違うようで海の下まで透き通って見えるほど海は綺麗ではないからこのままでは見えないが海に潜るとその光景が見えてくる。
海の中…それもこの孤島を支えるようにして土台となっていたのは魚人族の死骸だった。
死骸が積み重なってそこに上から土が重なったことでこの孤島は作られていたというわけだ。
この死骸がこんなに積み重なるほどあの神殿の地下から連れてこられたというわけなのかはたまた他の理由があってこのようになったのかは分からないがこの孤島は異常だというのは確かだ。
表面は魚人族の骨だけになっていたがよく見ると奥の方では心臓が鼓動を起こすようにその肉塊がドクンドクンと脈動しているように見えまだ生きているかのような錯覚さえ覚えた。
いや…もしかすると新しい生命が生まれている最中なのかもしれない。
こういうファンタジーの世界で冒険者をしたからこそわかるが人の怨念だかが集合すると碌なことにならない。
人が死んだ後放置すると魔素が集まりゾンビになってしまうというのも恨みつらみが集まりスペクターという幽霊系の魔物になるっていう事象もあるのだからあり得ない話ではない。
「名付けるなら…フィッシュフレッシュゴーレムとかそんな感じかな」
フレッシュゴーレム自体別に幽霊系の魔物と関連性は無いが…コレ以外にいい呼び名が思い浮かばない。
それにしても…さっきまで晴れていたのに急に雲が出てきたせいで不穏な空気が立ち上っているように感じる。
「雨が来たら困るなぁ…」
雨が来たら当然波が迫ってくるように高波となるだろうし船で移動しにくくなる。
私が動かす船は手で漕ぐタイプだから体力勝負になるだろう…となると当然の如く体力のない私に勝ち目がなくなってしまうわけで。
いやまぁ飛翔使えばどうにか街には戻れるんだけどね?
とりあえずこの際に釣り上げた魚の料理を作ることにした。
暴食が最近は調子がいいようで何もしなくても腹が空いてくる…そのせいもあってか料理の備蓄がどんどんなくなっていくのだ。
この際に私も料理を学ぶことでもし飽食の胃袋が使えない状況でもそこら辺の草とかで料理を作る事ができるようになりたいというわけだ。
ちょうど図書館で料理の本も読んだし…おそらくいけるはずだ。
色鮮やかな魚のスープは…まぁ料理の本には書いてなかったからしょうがないとして書いてあった料理はいけるはずだ。
何せレシピは覚えているのだから!
「虚空庫から調理鍋とか包丁、まな板を取り出して…と。さてレッツクッキング!」
そう言い放ち私はまな板に載せた魚に向けて包丁を振り上げた。
…少女調理中…
何時間時が進んだろうか?
陽は落ち始め夕暮れが訪れポツポツと雨が降り始めてきた。
コレぐらいの雨が続いて大雨にならなければ楽に街に戻ることも叶う事だろう。
「はぁはぁ…コレが私の全力!」
そう呟きながら大きな貝殻を加工して作られた食器に入った料理を眺める。
その数ゆうに10を超える料理が並べられておりどれも色とりどりの食材が使われている。
「知識さえあれば料理は作れる!…そう思っていた時期が私にもありました」
一口並べられた料理の味見をすると魚本来の青臭い味がしたり生焼けだったようでグジュッとした食感を味わえる。
しかもだそこにこうすれば上手くなるだろうという私のアレンジが追加されており要らぬ塩や香辛料まで入っているから非常に辛かったりしょっぱかったりする。
そうこの私ことレナは料理は前世でもした事が手で数えられるほどしかした事がない。
せいぜい作れるのは作られた麺に適当に野菜と肉を加えソースと和える漢料理の焼きそばぐらいなものだ。
それ以外は当然レトルトか惣菜や現代の至高であるカップラーメンぐらいなもの。
「あぁ…あの頃が恋しい」
今になって私はあの世界に帰りたいと思ってしまう。
料理…それは私にとって難敵であったのだ。
冒険者の最高峰に近く超人と謳われるAランクの敵は料理であった。
そうして私は散らかした器具を虚空庫にぶち込み腹を満たしたところでそれは唐突に起こった。
ここでもわかるほど大きな気配が急に現れたかと思うと雲が月と僅かに見える太陽を陰り雨が強くなっていく。
雲は黒く染まり雷を落とし海はそんな状況をさらに悪くしようと呼応するように全てを飲み込む渦を作り出す。
それによって表面に出てきた魚は飲み込まれ身体が捻じ切られ弾かれたそうにその身体の一部が空を舞う。
明らかな異常だと感じ飛翔で逃げようとしたその時になり雨によって海は荒れた高波を孤島に押し寄せてくる。
私はその高波から逃げようとするがもう遅く…気づいた時には簡単にその海の波は眼前に。
私は波に飲まれてしまっていた。
10
お気に入りに追加
175
あなたにおすすめの小説
追放シーフの成り上がり
白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。
前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。
これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。
ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。
ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに……
「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。
ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。
新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。
理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。
そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。
ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。
それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。
自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。
そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」?
戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。
異世界転生したら何でも出来る天才だった。
桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。
だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。
そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。
===========================
始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。
ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました
星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。
『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故
ラララキヲ
ファンタジー
ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。
娘の名前はルーニー。
とても可愛い外見をしていた。
彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。
彼女は前世の記憶を持っていたのだ。
そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。
格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。
しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。
乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。
“悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。
怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。
そして物語は動き出した…………──
※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。
※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。
◇テンプレ乙女ゲームの世界。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げる予定です。
陰キャでも出来る!異世界召喚冒険譚!
渡士愉雨
ファンタジー
クラスメート共々異世界に召喚された、ちょっと陰キャ寄りな少女、八重垣紫苑。
『私は陰キャだけど……困ってる人は助けないとね。これでも正義の味方大好きなので』
しかし一緒に召喚されたクラスメートは人癖も二癖もある人間ばかり(紫苑含む)。
そんな訳で時に協力時に敵対もあったりしつつ、皆で駆け抜けていく異世界召喚冒険譚、ここに開幕!
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
死んでないのに異世界に転生させられた
三日月コウヤ
ファンタジー
今村大河(いまむらたいが)は中学3年生になった日に神から丁寧な説明とチート能力を貰う…事はなく勝手な神の個人的な事情に巻き込まれて異世界へと行く羽目になった。しかし転生されて早々に死にかけて、与えられたスキルによっても苦労させられるのであった。
なんでも出来るスキル(確定で出来るとは言ってない)
*冒険者になるまでと本格的に冒険者活動を始めるまで、メインヒロインの登場などが結構後の方になります。それら含めて全体的にストーリーの進行速度がかなり遅いですがご了承ください。
*カクヨム、アルファポリスでも投降しております
チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる