孤児のTS転生

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孤児のダンジョン生活

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目の前にいるカースヴェイパーはこちらの動向を伺いながらその巨体を引きずりながらこちらへとやってくる。
カースヴェイパーのランクはAランクとなっており本来は他国にあると言われる地獄の抜け道という山の周りにいるとされている魔獣らしい。
この魔獣の最大の特徴は見た者に1つ目の眼で呪いをかけ苦しめ2つ目の眼で石化させ3つ目の眼で幻覚を見せるらしいのだが…まぁ私の方がLvが高い為レジストされてその効果は無い。
こいつの弱点は自分よりも高いLvのやつだっていうことだろうな…。

まぁ今は記憶から継承した魔法陣を使うこととしよう。
私がアレから記憶を継承し覚えた魔法陣というのは実は少ししかない。
何せマスターと指定されている奴がまず職人だったからかあまり実用的な魔法陣は持っていなかったみたいなんだよなぁ。

それでも一応は実用的な魔法陣は映像を通して見ていたらしいからそれを参考に構築すればまぁ…どうにかなるんじゃないかな?
にしてもこれだけ記憶があると軽く発狂しそうになるな。
私の今ある記憶は前世生きてきた俺としての記憶、そしてこの世界でのレナとしての記憶、そして新たに追加されたマスターの記憶。
俺は40年、レナは9年、そしてマスターは100年と合計で149年と一般の人間の範疇を超えた記憶を私は今所持していることになる。
これだけ記憶があれば当然混ざって正しい記憶が思い出せなくなる。

…まぁ記憶の整理を少しすれば落ち着きはするんだが。
まぁ整理といっても紙に書いたりして忘れたりしたらそれを見て即座に思い出すぐらいしか方法はないんだがな。

「というわけで魔法陣展開…『悲惨な苦痛』」

そうして私はカースヴェイパーに向けてその魔法陣を放つ。
魔法陣は怪しく光を放ち黒いモヤを放ちそれが警戒して動かなくなってしまったカースヴェイパーに絡みつきそして効果が発揮される。
カースヴェイパーの鱗は剥がれ落ちそうして見えた皮膚は沸騰したかのように泡を出し眼からは汁が出てその目は地に落ちる。

だが死ぬことはできない…それは幻覚なのだから。
カースヴェイパーは叫ぶ。
そうして死にたいと思い敵が目の前にいるのにも関わらず顔面を壁に打ち付け一生懸命に力を振り絞り死のうと努力をしそして…動かなくなった。

…どうやらこの記憶のマスターは随分と悪趣味だったらしい。
記憶の中にはこんな魔法陣ばかりある。
まぁこれを見てもう何も思わなくなってしまった私も同じ悪趣味に分類されるんだと思うが。

「…だがこれ以上私は成長できないのか」

最後の綱も切れてしまった。
私はこれから何を目標にして生きていけば良いのだろうか?
…いやこれ以上強くなるそれが私の目標だ…世界を歩けばこれ以上強くなる方法があるかもしれない…か。
まだ諦めるには早すぎるな…こういうポジティブなことを考えられるようになったのはマスターの記憶のおかげかな?
まぁどうにかなるか。

「まずはこのダンジョンの最奥まで行くとしようか」

私はこれ以上に強くなれる。
何せこの世界は未知で満ちているわけだし、まだ職業の転職にも希望がある。
それで全ての策がなくなったら…まぁそれはその時の自分が考えるだろう。

「さてとでは40階層にでも行って階層主でも倒すとしますかねぇ」

なんとなくだがこれがこのダンジョンの最下層だとわかってしまう。
扉には今まで見ることがなかった意味不明な文字のようなものが扉一面に描かれていたり豪華な装飾がされておりいかにもラスボスがいそうな雰囲気がある。

「では入るとしますかね」

そう私は呟き重い扉を押し開きその中へと進んでいく。
そこは真っ暗でそれで明るい…壁はまるでないように見え下を向くとまるで自分がその空間に浮いているかのように思えるほど遠近感が狂う光景が目の前に見える。
この空間に壁というのは存在しない。
それはずっと続いておりただただ宇宙のように粒のような煌きと全てを呑み込むような闇のみが存在している。

そうして私が前を見るとその空間の中心にはまるで玉座のようなものに座りこちらをじっと見つめる存在がいたことに気がついた。
見た目としては首から上が羊、身体は人のような形をしており神官が着るような豪華で星を基調とした装飾がなされた服を着ており背中からは黒い天使のような翼を持つ魔獣…いや神獣と言える存在がそこにいた。

見るだけで足がガタつき冷や汗が垂れる。
それはまるで自分の持つ記憶を覗き見られているかのようで私はそれに恐怖しているようだった。
耐性なんて関係ない。
畏怖すら突き抜け私はその存在に恐怖とは違う何かを感じることとなった。

だが私は勇気を振り絞り手を前に突き出し魔法陣の展開を始める。
ここで怖気付いては成長ができない。
その一心で目の前の存在に歯向かうことにした。
そうして私がその存在に歯向かい魔法陣を展開した時目の前の存在の口元は嗤いその口元は動き私に向かって重圧と共にその言葉を放った。

『よく来たな異界の記憶を持つ者よ。我が名は闇の神の眷属が一人《星の魔術師 バフォメル》…この地に封印されし神獣の一柱なり。この先に進みたくば我を満足させよッ!』

そう言い放ち目の前存在は立ち上がり更にその重圧を強めその空間を覆い尽くすほどの魔法陣を展開した。

*今回使った魔術一覧*

悲惨な苦痛:強力な幻覚作用を引き起こしまるで自分の身に何かが起きていると錯覚させこの苦痛から逃れるためには自殺しか無いと考えを固定化させる精神魔術。その苦痛の幻覚はその対象とする相手自身のトラウマを参考に構築される。
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