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孤児の冒険者活動
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俺は数十分かけて土の中から魔石を取り出した。
依頼というのは依頼した魔物を倒した証明として魔物の一部もしくはドロップ品をギルドに提出しなければならない。
それが冒険者の義務である。
…シャドーという魔物はいわゆる魔法生物という生物に分類されている。
物理攻撃は効かず魔法攻撃のみ攻撃が当たると言われている生物で例でいうとレイスとかが当てはまる。
そんな奴だから当然死んでも一部を落とすことはない。
だが魔石というものは生物の魔力の塊、人間で言うところの心臓にあたる物だ。
普通の魔物は心臓部分にその魔石があるらしいんだが魔法生物は例外らしく死んだ時に身体の魔力が集まり魔力が固まり魔石となるらしい。
まぁそんなわけで魔法生物を倒した証明をするには魔石を提出するしかないというわけだ。
「そろそろ帰るかぁ」
そうして魔石を腰にぶら下げた小物入れ用の袋に入れたあと来た道を戻る。
戻っている最中に突然にして悲鳴が聞こえた。
俺はふと思ったことを呟く。
「…テンプレというやつかな?」
気配操作を集中して行い距離を計算すると推定200mぐらい。
俺はどうするべきだろうか?
少し待ってから行動するかなぁ?
いやちょっと待て…すぐ近くに人間の気配がするな。
しかも結構強そうだし盗賊でもなさそうだ。
「こいつに任せて帰ろっかなぁ?いや、やっぱり…」
俺はふと思ったことがあり行動をする。
あっちからしたらお節介にも程があると思うが念には念をというやつだ。
そう思い座標を指定する。
魔術を遠くから正確に真上に発動するにはそれなりに大変だ。
動くやつに座標を合わせなきゃならないし魔法陣を描くためのMPも倍増する。
まぁこれを改造というのだろうかなんというか考えて使った魔術が俺の作り出した転移という魔術なのだが。
…まぁそんなこと今はどうでもいいか。
「魔法陣展開……今かな?ハンブル」
この魔術の効果は簡単に言うと対象を弱体化させる魔術。
動きが鈍くなり運もなくなり攻撃が当たらなくなる。
昨日の夜に本を読み覚えた新しい魔術だ。
最近の俺のブームは状態異常系の魔術、これがあるないで戦いがすごく変わるからこれから重宝するだろうと思い覚えた。
まぁこれによりあっちを襲っている魔物は本来の力の三割ぐらいは出せなくなったんじゃないだろうか?
これぐらい弱体化すれば今助けに行っている奴も倒せると思う。
「あのままあの魔物と戦えば助けに行った奴が倒されるっていうなんともかっこ悪い状況になりそうだったしな」
これだけすればあの魔物を倒せるだろう。
ということで俺はもう帰ることにしますかね。
あーあMPももう少ししかなくなっているしさっさと帰って惰眠でも貪るとしますか。
ぶっちゃけていうと金はもういらないからわざわざ依頼を受ける必要性はないんだがまぁ動かなくちゃ生きることができないと脳が判別してしまっているからだろうか。
俺は一日一回は何かをしなければ気が済まなくなってしまっている。
気持ち的には動きたくないと思っているのになぁ。
そんなことを考えながら歩く。
…幼女帰宅中…
俺はようやく宿の前まで着いた。
あのあとは門番さんに話しかけて門を開けてもらったあとに冒険者ギルドに行った。
朝に俺のことを馬鹿にした受付は何故か簀巻きで天井からぶら下げられており下には『幼女を虐めたクソ野郎』という看板が置いてあった。
受付をしてくれた人は「もう大丈夫ですよ」と満面の笑みをしていた。
…少し怖かった。
まぁそんなこんなで俺は宿に身の危険を感じて帰ったわけだ。
「普通あそこまでするか?簀巻きなんて初めて見たぞ?」
俺は女性の恐ろしさを今日知った。
成人男性を片手で掴み引きずりさも当然のように簀巻きにして天井からぶら下げる。
なんとも恐ろしいことだろうか。
俺はギルドの女性…いや女性を怒らせないことを誓った。
そんな思いのまま宿に入る。
そうして俺はその足を止めた。
宿の受付嬢の女の子が冒険者に絡まれている所を見てしまったからだ。
ここの店主はどう見ても戦えそうに見えない。
「おい!嬢ちゃんよぉ?俺らはAランククラン所属だぞ?逆らっていいのかー?」
どう見ても受付嬢は困っている。
だが俺の気にすることだろうか?
スラムでもそうだが他人を蹴落として生きてきた俺だ。
王国を救ったのはただ単に『ドラゴニア』が戦場に行き俺が何もできなかったという劣等感から行動したことだ。
だからこのことに首を突っ込むなんてことしたくない…のだが。
魔法陣を展開する。
面倒だが俺の部屋に帰るにはあの娘から鍵を受け取らなければならない。
だから…。
身体強化を足に集中して発動し走り出す。
「俺の邪魔をしないでくれないかな?魔法陣展開…スタンボルト」
強化した身体能力で小さくジャンプして首に向かってスタンボルトを放つ。
放った魔術は首の皮膚を少し焦がす。
そうして喰らった自称Aランククラン所属の男性は「あぶあぁるぶぁ」というなんとも言えない奇声を発して崩れ落ちる。
「さて、さっさと運ぶか」
俺は崩れ落ちた男性の手を掴みギルドに運ぶために引きずる。
全く持ってなんでこんなことしなければならないのかわからないがただ惰眠を貪るよりかは暇を潰せるだろうと考えた結果の行動だ。
何せまだ午後3時ぐらいだからな今から眠ろうとしても眠れないだろうし。
「あ、あの!ありがとうございました!」
そう、受付嬢が言ってくる。
俺は「…暇だったから」と返事をして男性を引きずりながら宿を出た。
*今回使った魔術一覧*
ハンブル:対象をステータスを下げ対象の行動を阻害させる。
依頼というのは依頼した魔物を倒した証明として魔物の一部もしくはドロップ品をギルドに提出しなければならない。
それが冒険者の義務である。
…シャドーという魔物はいわゆる魔法生物という生物に分類されている。
物理攻撃は効かず魔法攻撃のみ攻撃が当たると言われている生物で例でいうとレイスとかが当てはまる。
そんな奴だから当然死んでも一部を落とすことはない。
だが魔石というものは生物の魔力の塊、人間で言うところの心臓にあたる物だ。
普通の魔物は心臓部分にその魔石があるらしいんだが魔法生物は例外らしく死んだ時に身体の魔力が集まり魔力が固まり魔石となるらしい。
まぁそんなわけで魔法生物を倒した証明をするには魔石を提出するしかないというわけだ。
「そろそろ帰るかぁ」
そうして魔石を腰にぶら下げた小物入れ用の袋に入れたあと来た道を戻る。
戻っている最中に突然にして悲鳴が聞こえた。
俺はふと思ったことを呟く。
「…テンプレというやつかな?」
気配操作を集中して行い距離を計算すると推定200mぐらい。
俺はどうするべきだろうか?
少し待ってから行動するかなぁ?
いやちょっと待て…すぐ近くに人間の気配がするな。
しかも結構強そうだし盗賊でもなさそうだ。
「こいつに任せて帰ろっかなぁ?いや、やっぱり…」
俺はふと思ったことがあり行動をする。
あっちからしたらお節介にも程があると思うが念には念をというやつだ。
そう思い座標を指定する。
魔術を遠くから正確に真上に発動するにはそれなりに大変だ。
動くやつに座標を合わせなきゃならないし魔法陣を描くためのMPも倍増する。
まぁこれを改造というのだろうかなんというか考えて使った魔術が俺の作り出した転移という魔術なのだが。
…まぁそんなこと今はどうでもいいか。
「魔法陣展開……今かな?ハンブル」
この魔術の効果は簡単に言うと対象を弱体化させる魔術。
動きが鈍くなり運もなくなり攻撃が当たらなくなる。
昨日の夜に本を読み覚えた新しい魔術だ。
最近の俺のブームは状態異常系の魔術、これがあるないで戦いがすごく変わるからこれから重宝するだろうと思い覚えた。
まぁこれによりあっちを襲っている魔物は本来の力の三割ぐらいは出せなくなったんじゃないだろうか?
これぐらい弱体化すれば今助けに行っている奴も倒せると思う。
「あのままあの魔物と戦えば助けに行った奴が倒されるっていうなんともかっこ悪い状況になりそうだったしな」
これだけすればあの魔物を倒せるだろう。
ということで俺はもう帰ることにしますかね。
あーあMPももう少ししかなくなっているしさっさと帰って惰眠でも貪るとしますか。
ぶっちゃけていうと金はもういらないからわざわざ依頼を受ける必要性はないんだがまぁ動かなくちゃ生きることができないと脳が判別してしまっているからだろうか。
俺は一日一回は何かをしなければ気が済まなくなってしまっている。
気持ち的には動きたくないと思っているのになぁ。
そんなことを考えながら歩く。
…幼女帰宅中…
俺はようやく宿の前まで着いた。
あのあとは門番さんに話しかけて門を開けてもらったあとに冒険者ギルドに行った。
朝に俺のことを馬鹿にした受付は何故か簀巻きで天井からぶら下げられており下には『幼女を虐めたクソ野郎』という看板が置いてあった。
受付をしてくれた人は「もう大丈夫ですよ」と満面の笑みをしていた。
…少し怖かった。
まぁそんなこんなで俺は宿に身の危険を感じて帰ったわけだ。
「普通あそこまでするか?簀巻きなんて初めて見たぞ?」
俺は女性の恐ろしさを今日知った。
成人男性を片手で掴み引きずりさも当然のように簀巻きにして天井からぶら下げる。
なんとも恐ろしいことだろうか。
俺はギルドの女性…いや女性を怒らせないことを誓った。
そんな思いのまま宿に入る。
そうして俺はその足を止めた。
宿の受付嬢の女の子が冒険者に絡まれている所を見てしまったからだ。
ここの店主はどう見ても戦えそうに見えない。
「おい!嬢ちゃんよぉ?俺らはAランククラン所属だぞ?逆らっていいのかー?」
どう見ても受付嬢は困っている。
だが俺の気にすることだろうか?
スラムでもそうだが他人を蹴落として生きてきた俺だ。
王国を救ったのはただ単に『ドラゴニア』が戦場に行き俺が何もできなかったという劣等感から行動したことだ。
だからこのことに首を突っ込むなんてことしたくない…のだが。
魔法陣を展開する。
面倒だが俺の部屋に帰るにはあの娘から鍵を受け取らなければならない。
だから…。
身体強化を足に集中して発動し走り出す。
「俺の邪魔をしないでくれないかな?魔法陣展開…スタンボルト」
強化した身体能力で小さくジャンプして首に向かってスタンボルトを放つ。
放った魔術は首の皮膚を少し焦がす。
そうして喰らった自称Aランククラン所属の男性は「あぶあぁるぶぁ」というなんとも言えない奇声を発して崩れ落ちる。
「さて、さっさと運ぶか」
俺は崩れ落ちた男性の手を掴みギルドに運ぶために引きずる。
全く持ってなんでこんなことしなければならないのかわからないがただ惰眠を貪るよりかは暇を潰せるだろうと考えた結果の行動だ。
何せまだ午後3時ぐらいだからな今から眠ろうとしても眠れないだろうし。
「あ、あの!ありがとうございました!」
そう、受付嬢が言ってくる。
俺は「…暇だったから」と返事をして男性を引きずりながら宿を出た。
*今回使った魔術一覧*
ハンブル:対象をステータスを下げ対象の行動を阻害させる。
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