CHILDREN CRIME

Neu(ノイ)

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序章:点ト点ト、ソノ先

ニュース 02

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 リビングのソファーの上。
クッションはあまり効いていない。
真正面のテレビの中で、アナウンサーがマイクを片手に話している。
また壊れものだろうか。
電話が鳴っている。
母親は仕事だ。
まだ帰らない。
叱責の電話かもしれない。
お前の父親は罪人だと。
死刑になるべきだと。
事件が起きてから、電話が止むことはなかった。
罪のない父が死刑になるべきなら、罪を犯した自分はどうなるべきなのだろうかと、ぼんやり考える。
産まれてこなければ良かったのかもしれない。
そうすれば、少なくとも無を産み出すことはなかった。




 宇津井 七。
自己否定に走り出した思考が唐突に単語を浮かべた。
人の名前だ。
母親の働く病院で、一度だけ会ったことのある、地元では天才幼児として有名な生意気な奴。
其が宇津井 七だった。
単語の出所を探すように、自然と視線がテレビに向く。


 一家心中、とテロップが流れている。
その下に彼の名前が載っていた。

「繰り返します。萩市在住の宇津井さん一家が心中を謀り、長男の知有君を遺して死亡。知有君は心身耗弱状態とのことで、現在は地元の警察署で保護されています。死亡が確認された次男の七君は、地元では天才幼児として有名で……」

感情の感じられぬ声で以て、アナウンサーは告げていく。
リモコンが手から滑り落ちた。
ソファーの上に所在なく転がる。
流れていくべき他人の残骸が、胸の内に残ってしまった。
ショックで体が震える。


 七が死んだ。
無になってしまった。
もう彼は、何処にもいない。
強制的に消されたのだ。
歩むべき人生を、他人の手によって。


 嗚咽が口を吐く。
駄目だった。
倶利はもう、自らの罪に耐えられそうにはなかった。
頬を伝う涙も拭わずに、ただひたすらに「ごめんなさい」と呟き続ける。
真っ白な頭で考えられたことは、己の存在を呪うことだけだった。




人ヲ殺シタ罪ハ
ボクヲ許シテハクレナイ。

タダ罰ヲ与エル為ニ
己ニ刃ヲ突キ立テル。

許シテ下サイナンテ
縋ル資格スラ無カッタ──
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