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序章:点ト点ト、ソノ先
独白
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狂ッテイルノハ、
僕カ世界カ、ドチラナノカーー?
始マリハ暗イ暗イ闇ノ中。
* * * * * *
サヨウナラ、僕。
私は、君を守りたいんだ。
壊してやるよ、俺が。
モウ、世界ハ終ワル。
最初カラ、ヤリ直シ。
サア、目覚メタラ――
オ前ハ、誰ダ?
1.始マリノ始マリ
【独白】
自己の確立。
アイデンティティー。
自分が自分であることの意味。
そう言ったもの全てが、この世界には無い。
真っ暗で何もなぁんにも、無い。
其れが世界の全て。
痛みと苦痛と、飢餓。
死への恐怖。
この部屋には、其れしか無かった。
家畜以下の扱い。
家畜以下の人間。
其れが自分であって、生きる価値すら与えられぬまま、いつの間にか自分は消えていた。
空白の時間。
気付いた時には、一変して違う場所(ステージ)に立たされていた。
記憶も無い、居場所もない、生きる当てがない自分。
辛うじて、孤児院に身を寄せることが出来ても、何も変わらない。
どうして記憶が途切れているのか、どうやってあの地獄のような場所から逃げ出せたのか、何一つとして解らなかった。
ある意味、其れが動機なのかもしれない。
警察官を目指した一番の理由なのだろう。
背中にくっきり浮かぶ火傷の痕と、微かに記憶に残る体が焼けるような熱痛(いたみ)。
そして、何かを殴った衝撃。
何かを刺したような感触。
其れだけは、いつまでも生々しく記憶しているのだ。
昔の事件を調べれば、何れは自分と出会えるような、そんな希望にも似た予感に縋り付いた結果の警察官だ。
この時はまだ、自分の存在そのものが罪深く、神をも冒涜するものだとは、微塵も頭には無かったのである。
まさか関係のない事件から、己の存在の謎が明かされることになるとは、思い至る訳もなく、ただただ先輩に付き合っての捜査に過ぎなかった。
しかし、関係のない事件ではなく、全ては繋がっていたのだ。
10年前の放火殺人事件と、7年前の妊婦及び胎児殺人事件。
共通点は、粟冠家の人間。
別々の点と点が、一本の線になったキッカケ。
恐らくは、粟冠 倶利(サツカ クリ)と宇津井 知有(ウツイ チユウ)の出逢い。
それこそが錆び付いた歯車を動かした要因であろう。
斯くして、世界の謎は解けて、自己の確立は叶った。
アイデンティティーを取り戻したのである。
これは、そういった物語だ。
各々(それぞれ)の人間が、自己を知り、己を取り戻し、世界をやり直す過程の、極々一場面に過ぎない――。
僕カ世界カ、ドチラナノカーー?
始マリハ暗イ暗イ闇ノ中。
* * * * * *
サヨウナラ、僕。
私は、君を守りたいんだ。
壊してやるよ、俺が。
モウ、世界ハ終ワル。
最初カラ、ヤリ直シ。
サア、目覚メタラ――
オ前ハ、誰ダ?
1.始マリノ始マリ
【独白】
自己の確立。
アイデンティティー。
自分が自分であることの意味。
そう言ったもの全てが、この世界には無い。
真っ暗で何もなぁんにも、無い。
其れが世界の全て。
痛みと苦痛と、飢餓。
死への恐怖。
この部屋には、其れしか無かった。
家畜以下の扱い。
家畜以下の人間。
其れが自分であって、生きる価値すら与えられぬまま、いつの間にか自分は消えていた。
空白の時間。
気付いた時には、一変して違う場所(ステージ)に立たされていた。
記憶も無い、居場所もない、生きる当てがない自分。
辛うじて、孤児院に身を寄せることが出来ても、何も変わらない。
どうして記憶が途切れているのか、どうやってあの地獄のような場所から逃げ出せたのか、何一つとして解らなかった。
ある意味、其れが動機なのかもしれない。
警察官を目指した一番の理由なのだろう。
背中にくっきり浮かぶ火傷の痕と、微かに記憶に残る体が焼けるような熱痛(いたみ)。
そして、何かを殴った衝撃。
何かを刺したような感触。
其れだけは、いつまでも生々しく記憶しているのだ。
昔の事件を調べれば、何れは自分と出会えるような、そんな希望にも似た予感に縋り付いた結果の警察官だ。
この時はまだ、自分の存在そのものが罪深く、神をも冒涜するものだとは、微塵も頭には無かったのである。
まさか関係のない事件から、己の存在の謎が明かされることになるとは、思い至る訳もなく、ただただ先輩に付き合っての捜査に過ぎなかった。
しかし、関係のない事件ではなく、全ては繋がっていたのだ。
10年前の放火殺人事件と、7年前の妊婦及び胎児殺人事件。
共通点は、粟冠家の人間。
別々の点と点が、一本の線になったキッカケ。
恐らくは、粟冠 倶利(サツカ クリ)と宇津井 知有(ウツイ チユウ)の出逢い。
それこそが錆び付いた歯車を動かした要因であろう。
斯くして、世界の謎は解けて、自己の確立は叶った。
アイデンティティーを取り戻したのである。
これは、そういった物語だ。
各々(それぞれ)の人間が、自己を知り、己を取り戻し、世界をやり直す過程の、極々一場面に過ぎない――。
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