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一章:援交とタローさん

性交はイコールで愛になるか 19*

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愚かにも愛を求めて堕落していく自分に差し伸べられた優しさだ。
それであれ、彼に求められていることは性欲処理なのだ。
解り切った答えだ。
お兄さんはお金で僕の体を買った。
それだから、僕は体を差し出す。
今までと何ら変わりのない行為である。
それなのに、こんなにも心が悲鳴をあげている。
愛し合うと言うことは、違うような気がした。
体だけ繋げれば手に入るような、そんな簡単なものではないのだと、そう感じてしまったのだ。
彼女の愛にしろ、お兄さんの愛にしろ、僕には遠い。
そんなのは辛過ぎる。
今まで通りに体を繋げるしか、僕は自分を保てそうにないのだ。


 彼の上体が起き上がり、腕を引かれる。
2人並んで座ると、お兄さんの手が頭を撫でた。

「大丈夫? 無理しなくてもいいよ?」

心配そうに、それでも嬉しそうな表情を彼は覗かせる。
僕は曖昧に微笑んで俯いた。
頭の中がゴチャゴチャしていて纏まらない。
そんなもの全てを忘れたかった。
胡座を掻いているお兄さんの股間に顔を寄せる。
目前に迫る男性器に息を呑む。
舌先を伸ばし、鈴口を舐めてみたが、特に味はしない。

「キィ、こっち見て」
「ん……?」

熱い吐息と共に名前を呼ばれ、亀頭に舌を伸ばしたまま上目で彼を見遣る。
髪にお兄さんの指が差し込まれた。
視線を外さないままで、亀頭からカリ首まで舐め回すと、鈴口からびゅくんと透明な先走りが溢れてきた。
それを舐めとれば、口の中に苦味が広がる。

「銜えてみる?」

冗談ぽくお兄さんは言う。
無理強いはしないのに、それを望まれていることは解った。
くちゅ、と音を立てて亀頭を呑み込む。
竿を片手で握り、上下に扱いた。
口の中に溢れてくるカウパー腺液を舌先で伸ばしながら、カリから竿に向けて唇を降ろす。
ちゅうぅぅ、と吸い上げつつ、手の動きに合わせて頭を振った。
すぐに顎が疲れてしまい、苦しくなる。
どんどん咥内で質量を増していく陰茎に喉奥を突かれた。

「っぐは……! んぐっ、んが、ぁ」

軽くだが、お兄さんの腰が揺れている。
引こうとした頭は、彼の手に押さえ込まれていて逃げ出せない。
必死でお兄さんの太ももを叩いた。
それでも彼の動きが止まることはなく、そのまま数分は腰を打ち付けられたように思う。

「……っんあ! はぅ、はっぁ」

急に頭を掴んでいた手が離れ、唇からベニスが外れた。
勢いよく飛び出した性器は、外気に触れた途端に僕の顔目掛けて迸りを放つ。
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