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一章:学園の闇
謎の同級生 08
しおりを挟むそう、真哉を犯した佚は、麻薬中毒を起こし、死んでしまった。
真哉が引きこもる少し前のことだ。
佚が亡くなり、真哉の胸にぼっかりと穴が空いた。
確かに、無理矢理犯されたことは許せなかった。
それでも、親友だったのだ。
麻薬と戦っているのも知っていた。
真哉を犯してしまった罪悪感からなのか、あの後、佚は麻薬を辞めようと戦っていた。
病院にも入院していた。
其れが突然に、病状が悪化した。
次の日には、佚は帰らぬ人となったのだ。
そして、解らないことが何点かあった。
佚は何故に麻薬に手を出したのか。
きっかけは何であったのか。
何処から仕入れていたのか。
そう安価なものでもない。
中学生の佚に麻薬を手に入れるルートがあったかどうかも疑問だ。
それから、快復に向かっていた佚の、不自然な病状悪化が何を指すのか。
疑問を上げればきりがない程だ。
だが、真哉は目を瞑ることにしたのだ。
深く首を突っ込むのが怖かった。
佚から受けたレイプという傷が、癒えないままである。
レイプを受ける前にも、何度か暴力を受けていた。
親友が麻薬に溺れていると知れば、止めようとするのが当然だろう。
佚は、其れが気に食わなかったようで、真哉に手を挙げたのだ。
麻薬と関わるのは、もう嫌だった。
何もかもを忘れてしまいたいと願う。
しかし、忘れるどころか日に日に夢見は悪くなっていく。
暴行を受けた時の夢。
レイプされた時の夢。
佚が死んだ時の夢。
見たくないものが、次から次に蘇る。
一番怖いのは、自分までもが麻薬に溺れてしまうのではないか、という恐怖だ。
レイプを受けた時に、一度だけ口にした其れを、体が求めてしまいそうで、酷く怖かった。
あと一度でも口にすれば、自分もおかしくなってしまうと、真哉の直感が告げていた。
其れだから、麻薬とはもう関わらないと決めたのだ。
あのメールの内容は、真哉には恐怖でしかなかった。
差出人はクラスメイトの藤沢 勝とか言う人間。
麻薬について教えて欲しい、とは一体どういうことなのか。
学校と麻薬の関係について知らないか、と。
真哉は戸惑う。
学校と麻薬の関係。
そう、学校から佚のことに関して、真哉は口止めをされている。
何故かなど解らない。
イメージの問題か、はたまた他に理由があるのか。
真哉には知る必要もなかった。
誰にも言ったことはない。
だが、真哉の中の疑問は、答えが学校にあることを、何となく感付いていた。
かと言って、真哉は彼に力を貸す気などない。
返事は返さずに削除した。
これで良いのだ。
ひたすらに目を瞑り、息を潜めて暮らしていれば、それで良い。
怖いことなど何もない。
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