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一章:学園の闇
謎の同級生 04
しおりを挟む「ユウリ、知らないよ。何の噂?」
「俺も知らねぇな。まだ来たばっかだしよ」
雷紀も首を横に倒し、頭を掻きながら答えた。
皆の返答を聞き、勝は大きく頷いている。
そして、雷紀の前にいるあやの隣まで歩いて行く。
「雷紀君。君は、その。アメリカで麻薬に手を出したことがあると、聞いたんだけど、本当かな?」
「……っ……!? 水紀か?」
雷紀の前で歩を止めた勝が、雷紀を覗き込む。
雷紀の顔は驚きで固まるも、すぐさまに水紀を睨んだ。
「水紀君を怒らないでね。僕が、無理に聞いたんだ。麻薬について調べていて、まあ、アメリカにも多いからね。君に聞く前にと思って」
勝が雷紀をたしなめるように言い遣り、しゃがみ込むと、下から雷紀を見上げる。
雷紀は黙り込み、勝から視線を外した。
「それでね、話を戻すと。今、学校では麻薬が蔓延しているらしいんだよ。中学でも高校でも、ね。そこまでは、普通と言ったら可笑しいけど、他にもありそうな噂だろ? ところが、噂はまだ続くんだ。裏で糸を引いているのが、学校組織に生徒会、もしかすると、PTAまで絡んでいるかもしれない。詰まりね、学校側が麻薬を斡旋して、生徒に売り付ける。その売り上げを、運営費に使っているらしい。と言うのが、一つ噂であるんだ」
目を逸らされても気にした素振りもなく続ける勝は、すっと立ち上がり、水紀と悠理に向き合った。
「ところで、悠理ちゃん。和泉原君の噂は、知っているかな?」
「えっとねえ。今年おんなじクラスになったから、良くは知らないけど。ヤバいって聞いたよ。薬中で引きこもってるとか、友達を殺したとか。いろいろ」
悠理は戸惑いの色を見せながらも拙く答える。
「うん、その噂は、多分学校中に流れているだろうね。だけど、もし。もしもだよ。和泉原君の麻薬が学校側と繋がっているのなら、逆に情報を持っているかもしれない。そう思って、彼について調べてみたんだよ。……そうしたら」
人差し指を立てて話していく勝。
途中で間を取るようにして途切れた。
「そうしたら?」
ごくり、と唾を飲み込んで、恐る恐る悠理が尋ねた。
「彼が殺したという噂の友達。本当にいたんだよ。市川 佚(イチカワ イツ)君と言う子でね。この子の死因が、麻薬による中毒死だったんだ。要するに、和泉原君が殺した訳ではない、と言うことだ。此処で一つ、疑問が生じるよね?」
「彼の噂の、出所。何で出鱈目な噂が流れているのか、かな?」
勝が一同を見渡す。
水紀の口がおもむろに開いた。
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