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一章:学園の闇
謎の同級生 02
しおりを挟む二つ縛りのふわふわの髪型は、何故か垂れた犬の耳にも見える。
柔らかい茶色の髪が、ツインテールで揺れている。
彼女は雷紀の背中から離れ、俊敏な動作で水紀に抱き付いた。
ちびとちび、ショタとロリ、小学生のカップルにも見える彼等は、れっきとした高校生のカップルである。
水紀と彼女、雪地 悠理(ユキジ ユウリ)は、彼氏彼女の関係だ。
水紀の手が、悠理の頭を撫でている。
悠理は、抱き付いた姿勢で、水紀を見上げる。
二人の世界は、ベタベタに甘い。
バカップルなのだ。
雷紀は、げほごほと噎せ返していた。
悠理を睨むが、彼女は気付きもせず、水紀と見詰め合っている。
「おい、コラ、ユーリ! いってぇだろ」
「何よお、水紀ちゃんに悲しい顔させた報いだもん! ユウリ、悪くないもん! 水紀ちゃん、大丈夫?」
この馬鹿そうな口調は、彼女の標準装備である。
水紀同様に、童顔で幼く見える悠理は、中身もお子様だった。
仕草も口調も幼い。
妹キャラとして可愛がられる傾向にあるが、彼女自身の気質はネコのようで気紛れだ。
そういったところもまた、愛される一要因であった。
デレデレのようで時にツンとし、ツンツンしていたかと思えば、要所要所でデレとする。
デレとツンの配合具合が素晴らしいロリである。
背中を擦る雷紀など何のその。
悠理は気にせず水紀の背中に腕を回し、ぎゅうぎゅうと締め付ける。
悠理からすれば、可愛い彼氏が男といちゃこらしていると不安になるのだそうで、雷紀には良く噛み付いていた。
警戒心丸出しなのは、雷紀がこの学校に来てから、まだ幾月も経たないからだろう。
雷紀は今年、この学校にやって来た転校生であった。
水紀とは違うクラスになりたかった雷紀であったが、何かと問題の多い男である。
学校側が気を使い、水紀と同じクラスにしたらしい。
ストッパー役として水紀に期待しているようだ。
「ゆうちゃん、僕は大丈夫だよ。ありがと、僕のために」
「いいんだよ、水紀ちゃんはユウリが守るんだもん。いじめられたら言ってね?」
水紀はそんな思惑を感じ取りながらも、特に何をするでもなしに日常を送っていた。
悠理の頬を両手で挟み込み、上向いている悠理を見詰める。
お互いに微笑み合い、げろ甘な雰囲気が辺り一帯を包んでいた。
一種の公害だと感じるも、雷紀は反論するのも馬鹿らしくなり、鞄の上に突っ伏した。
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