双子と他人と異常性

Neu(ノイ)

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一章:調教スタート

ハジマリ 03

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僅かに離れた弟の手には、リードのような鎖が握られている。
嫌な予感に真っ青になる顔で弟を窺った。

「そんなんつけるとか言うなよ? マジでやめろって! オイ」

僕の声など聞こえていないのだろう。
弟はニタニタとした笑みを顔面に貼り付けて楽しそうにリードの先を僕のつけている首輪と繋げた。
がちゃん、と接合する音が聞こえた瞬間、人間としての尊厳を踏みにじられた気がした。
悔しさと屈辱で涙が滲む。
唇を噛み締めても、嗚咽が溢れた。

「何で泣くの、お兄ちゃん。やっと僕達、一つになれるんだよ? 僕ね、凄い嬉しいんだ」

鎖をぐいっと引かれ、弟と唇が付きそうな距離まで近付いた。
ふわふわと幸せそうに笑って弟は、そっと僕の額に口付ける。

「こんなん犯罪だぞ!」
「何言ってるの、お兄ちゃん。僕達家族だよ? お兄ちゃんの面倒をみるだけで何で犯罪になるの? 僕達は元々一つなんだもの。当たり前に戻るだけだよ」

首を振って抵抗すれば、お腹に痛みが走った。
弟の足が腹部にめり込んでいる。

「ぐっ……ふっ! ごほっ……がは!」
「僕ね、この日のために高校の三年間、楽しくもない部活を頑張ったんだよ。応援指導部なんて、他人の応援をする変な部活だったけどさ。OBの人は偉い人ばっかりで、僕、可愛がられるように頑張った。頑張ったらね、筋肉もついたし、警察にも議会にも顔が利くようになったんだ。ねえ、お兄ちゃん。僕のしていることはね、犯罪じゃなくて、調教って言うんだよ。警察は一種のプレイとしてみなすんだ。恋人同士のお遊びに口出しをしていられるほど、彼等も暇じゃない」

苦痛を訴える腹を押さえ、床に片頬を着く形になっている僕の頭を弟は片手で掴んだ。
グリグリと強い力で押され悲鳴が飛び出す。
絶望的なことしか言われていない気がするのに、痛みで何も考えられなかった。

「お兄ちゃんがいけないんだよ。僕以外の人間を選ぶから。女のマンコになんて挿れて、穢らわしい生き物になっちゃうから悪いんだ。僕と違う道を行こうとするからっ……!」

がっ、と頭を踏み付けられ、目の奥が真っ赤に染まる。
息が止まった。
耳が床に挟まれ、ゴリッと嫌な音をあげる。

「っっ……ぁっぐぅ、おっ、まえ、おかしいぞ。男が女と寝るなんて当たり前だろ。何が穢らわしいだ。いつまでも兄ちゃんと一緒が良いとごねているお前は異常だっ!」
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