16 / 17
一章:責任取ってね?
運命の出逢い 02
しおりを挟む自分に奇特な性癖を植え付けた上に、年々魅力的になっていく。
欲しいと熱望したところで手にすることは叶わない。
最初から諦めていた。
遠くからひっそりと見守るだけでいい。
それで満足していたのだ。
* * * * * *
状況が変わったのは、勤め先でのことだった。
高校で養護教諭をしている保健医の倫成にとって、新学期は忙しい時期である。
新入生の顔とクラスを覚えることから始まり、どの学年の行事にも同行しなくてはならない。
この日も新入生のオリエンテーションに同行していた。
気になる生徒は必ずいるもので、C組の神沼 明紫亜(カミヌマ メシア)には目を光らせなくては、と行事前から決めている。
車酔いしやすく行き帰りの送迎は家の人にしてもらう、と事前に連絡があったのだ。
少しばかり虚弱体質でゲームなども休むかもしれないと保護者代理の男性から通達があったと明紫亜の副担任から業務連絡を貰っている。
本来ならば担任から来る筈の業務連絡が副担任の篠田(シノダ)経由なのが気にはなったが、若い担任のフォローをしたのだろう、と勝手に納得した。
行きのバスに揺られ、倫成は溜息を吐き出す。
A組のバスにお邪魔させて貰っている関係上、副担任の笹垣 司破(ササガキ シバ)を見たい放題だった。
昨夜あった電話が倫成を憂鬱にさせている。
母の従姉妹の息子に倉本 純(クラモト ジュン)という男がいた。
彼は暴力団の組長の跡取り息子で、若頭候補として組長補佐をしている、明らかに危ない世界のサラブレッドだ。
純の母と倫成の母は仲良くしているらしいが、倉本の家との交流は全くなかった。
駆け落ち婚である以上は仕方ないことではあるが、倫成自身、倉本の家と交流を持たなくていいことは救いでもある。
誰が好き好んでアウトローな世界に足を突っ込みたいと言うのか。
面倒事には関わりたくない、それが倫成の本音だった。
そんな純から唐突に電話が入ったのだ。
教えていない電話の番号を知っていても驚きもしない。
彼はそういう男なのだ。
要件は一つ。
理科(特に化学)の臨時教師として今年赴任してきた司破のことを尋ねられた。
まだ親しくしていないから解らない、と濁した倫成に、純は笑いながら宣ってくれた。
『仲良くなってくれませんか? 彼の交友関係を知りたいんですよ。特に生徒との』
ふふ、と可憐な声で笑う純から逃げる方法が倫成には見い出せなかった。
「はあ、そうですか。でも彼、他人と馴れ合う気、なさそうだから難しいかもしれませんねえ」
と適当に誤魔化し電話を切っていた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜
ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。
高校生×中学生。
1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。
ドS×ドM
桜月
BL
玩具をつかってドSがドMちゃんを攻めます。
バイブ・エネマグラ・ローター・アナルパール・尿道責め・放置プレイ・射精管理・拘束・目隠し・中出し・スパンキング・おもらし・失禁・コスプレ・S字結腸・フェラ・イマラチオなどです。
2人は両思いです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる