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序章:寮長様と小型わんこ
嫌いなわんこ 04
しおりを挟む嫌いなわんこ。
誰にでもなついて、誰からも愛される。
自分なんかを凄いと言った彼の目には、きっと沢山の幸せや楽しみが映っているのだ。
羨ましいと、思う。
和志は羨むことしか出来ない。
有りの儘の自分を見せるのが怖いのだ。
彼を見ていると、自分が如何に醜いか、思い知らされる。
けれど、近寄れたならば、変われるのだろうか。
踏み出す勇気は、光輝がくれたような気がした。
「健君。今日、一緒に帰ろうか」
ごほん、と咳払いをし、前を向いたまま、精一杯の誘い。
健は、マジで!? と嬉しそうに跳ねた。
光輝を巻き付けていたので小さなジャンプではあったが、彼の喜びを表していた。
「名前、ありがとー! 和やんって呼んでいい?」
しかしながら、健との交流は難しいようで、和志は難色を示す。
「ごめん。せめて和志で、お願いするよ」
ええぇぇっ、と大袈裟に叫び、オーバーリアクションで落ち込む健であったが、渋々と頷いた。
唇は尖り不満を示している。
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非常に失礼な男だ。
「良かったな、ガキ。和志と仲良くなれて」
「んっ、佐倉の兄ちゃんのお陰だよ! あんがと」
非常に腹が立つ。
二人で肩を組み歩く様は、異様だった。
面白くない。
和志は二人を見ないように前だけを見詰めているのだった。
やっぱり、嫌いなわんこだ、
と思いながら。
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