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一章:傲慢王子は呪われ奴隷を飼う
付き纏う王子 09
しおりを挟む嬲られているのは舌なのに、何故か下半身が熱くなり重くなる。
もどかしい焦れったい快感は、じわりじわり、と少年の芽生えたばかりの性に火をつけていく。
「は、っ、ふ、ぅ、っっ、ん、ん」
もっと粘膜同士を擦り合わせ、快楽を貪りたい。
恐怖ばかりが強かった昨日よりも、性感は鋭くなっているようだった。
薄れた恐怖の分だけ、身体はより強く快感を得てしまう。
それなのに、男は舌を絡めてはくれない。
擦り合わせ嬲って欲しいのに、ただ吸うばかりなのだ。
「んぁ、っ、あ、っ、し、た」
離れていく唇に思わず強請りそうになり、慌てて唇を噛み締める。
意地の悪い眼差しを向けてくる青年から顔を背けた。
「舌? もっと吸って欲しいのか?」
解っている癖にわざとらしく問うてくるシヴァが憎たらしい。
ぶんぶん、と首を横に振りたくると、何故か胸が一杯に詰まり涙が溢れてくる。
「ち、ちが、っ、もっ、吸うの、やだ」
ぼろぼろ、と頬を濡らすメシアを真上から見下ろすシヴァの口端が僅かに持ち上がった。
「じゃあ、どうして欲しいんだよ? して欲しいこと全部してやるから、ちゃんと言え」
この男には敵う気がしない。
はじめからメシアに勝ち目などないのだ。
「し、舌、絡めて、擦って、ペロペロ、した、い。シヴァ様の舌ベロ、僕も、欲し、い」
他人と触れ合い、剰(あまつさ)え、体液を混じらわせるなど、許される行為ではなかった。
ずっと恐れ怯え慄(おのの)き、誰かと体温を分け合いたいと願うことすら自身に禁じてきたのだ。
もしも呪いが己の内から溢れ相手を傷付けたら、と考えると怖くて仕方がなかった。
けれども、青年は強引に大丈夫なのだとメシアに教え込み、意図も簡単に少年の体躯にと触れる。
「メシア」
心臓がギリギリと引き攣る痛みに涙は止まらない。
手放すことになると解っている。
求めても意味がないと知っている。
身体を差し出しても温もりに流されては駄目だ、と戒めても尚メシアの内に芽生えた歓びは残酷なまでにシヴァを欲してやまない。
「シヴァ、っ、さ、ま」
するり、と頬を掌に覆われ、水滴ごと攫っていく。
嬉しくて破裂しそうな心臓が激しく跳ねては血液を排出し、メシアの胸は張り裂けんばかりに苦しむ。
「……お前は。泣いてばかりいるな。いや、俺が泣かせてばかりいるのか」
ふと歪んだ青年の顔はすぐに見えなくなった。
重なり合った口から覗く舌に肉を辿られ、自ずから舌を伸ばす。
舌先が触れると体中が、じんわり、と薄く痺れていくような感覚に陥った。
切ない胸は余計に苦しくなっていく。
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