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一章:傲慢王子は呪われ奴隷を飼う
奴隷と水浴び 22
しおりを挟む竜人族、と聞いてメシアの何処か深いところがざわついている。
もっと詳しいことを聞きたい。
これまでメシアが自身に掛けられた呪いについて知る機会などなかったのだ。
呪いに関して知ることが出来れば、呪いを掛けた人物のことも解る気がしていた。
だが、田舎の領地で知れることなどたかが知れている。
こんなチャンスは二度と訪れないだろう。
それなのに、悪戯をやめないシヴァの手に熱い吐息を吐き出すことしか出来なかった。
「や、やめ、っ、も、そこ、っ、っ、だ、め」
乳頭を、ぐりり、と親指に押され痛い筈なのに身体は火照っていく。
ぴりり、とした痛みの中に、じんわり、とした気持ち良さが湧き上がってくる。
背中を逸らすと頭をシヴァの鎖骨に押し当てる形になった。
上向いた視線に入った青年の顔が落ちてくる。
悪戯していた手に顎を掴まれ固定されてしまう。
近付いてきたシヴァの唇から目を離せない。
額に触れた接吻(くちづけ)がヤケに優しいものに感じられたのは、彼が微かに笑っていたからなのか。
どうしようもなく、縋り付いて甘えたくなった。
「シ、ヴァ、さま。僕は……今もまだ呪われたままだよ、生きていても、模様が消えても、それでも呪いは消えていない。僕には解るんだ。何か得体の知れないものが体内で蠢いていて。よ、よく、わかんない、けど。でも、僕の中のものが移ってしまいそうで、ずっと、こわ、っ、か、った。……だからもう、僕に触れたりしないで。会いに来ないで。僕を……乱さないでよ」
誰にも言ったことのない、スズコにも伝えたことのない想いが零れ落ちていく。
まだ青年の温もりに触れていたかった。
けれども、少年には耐えられそうにはないのだ。
独りで生きて行く未来は否が応でも訪れるもので、彼に甘えることを覚えてしまったら、きっと生きていけない。
知らず知らずの内に首から掛けているペンダントを握り締めていた。
「……大丈夫だ、メシア。呪いは伝染らないし、俺がお前の呪いを壊してやる。だから安心して俺のモノになれ」
耳を擽る優しい声音が怖い。
この男に甘えていたいと思い、甘えることに慣れる自分を恐れ、結局メシアはどうして良いのか解らなくなってしまう。
「やだ。出来もしないこと、言わないでよ」
「出来ないだなんて誰が決めたんだよ。そうやってはじめから諦めてお前は満足かもしれないがな。テメエの人生、そう簡単に投げ出すな。折角生まれてきたんだ。好きなように生きたいだろ?」
駄々を捏ねるように首を左右に振りたくるメシアの首筋に歯を立て、シヴァは少し怒った口調で告げる。
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