SとKのEscape

二章：悲劇の日から

記憶に取り残された幼馴染 09

その間も彼が意識を取り戻すことはなく、勝手にナカへと指を入れ掻き混ぜることに罪悪感と僅かな劣情とを抱いたが、何の反応も返ってこないことに、ある種の安堵を覚える。
例えば、ボクの指でクロが啼（な）くのなら、ボクは彼を無理矢理にでも奪ってしまうのだろう。
あの男達と、何が違うと言うのか。
きっと責める権利もない。


　事務的に考えないように、と無心を心掛けても、体は正直に熱くなるのだから、溜息しか出ない。
ボクはクロに欲情出来るのだと、この時はじめて知った。
それがどうしてなのか、頭では解っていて、すぐに蓋をする。
昂ぶる感情に名前をつけるのが怖い。
思春期だから仕方がないのだと、無理に理由をつけて自分を納得させた。


　どろり、と秘部から垂れる男の白濁に眉間に皺が寄る。 
不愉快な気持ちをどうにか抑え付けながら、クロのナカを指で抉った。
熱く指に絡み付いてくる襞に身体が勝手に昂っていく。
白濁を掻き出す為に入れている指を思うが儘に突き動かし掻き混ぜてしまいたい衝動に襲われる。
クロに意識がないことを安堵する一方で、その癖、今すぐに目を開けて欲しいと思っているのだ。


　其れは自分勝手で醜い独占欲であり嫉妬である。
今、彼を支配しているのが自分であるのだと、クロに知らしめてみたい、とそんな汚い感情だ。
クロのナカに指を突き入れているのは、身勝手に妻子を傷付けた男でなければ、不良を気取った男共でもない。
他でもない親友であるボクがそうしているのだと思い知ればいい、と頭の何処かで考える自分がいた。
そしてその状況を妄想するだけで、欲望は弾けそうな程に昂っている。


　守りたいと思いながらも、彼を傷付ける人間と同じことをしたいと考えている自分に愕然とした。
秘部から、こぷり、と溢れ出た白濁が、彼の白い内腿を辿って浴室のタイルの上にと落ちる。
何度も菊座を引く付かせて大量の精液が、こぽこぽ、と外に出て行く。
指に纏わり付く汚らしい男達の分泌液をシャワーで流した。
一旦シャワーをホルダーに戻し、意識のないクロを見詰める。
ぐったりとした様は、儚さと共に何とも言えぬイヤらしさを醸し出していた。


　熱くなった体を持て余し、ボクは駄目だと解っていながら、真っ裸の自身の下腹部に手を伸ばしてしまう。
クロの顔を凝視しながら、滾る自身に指を絡ませる。
胸の中が罪悪感で溢れているのに、手は止まらなかった。
上下に扱きあげクロの名を口にする。
息が荒くなるにつれ、先端からは先走りが溢（こぼ）れ、ぐちゅぐちゅ、と湿った音を響かせた。