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一章:キチガイ×ヘンタイ

俺を変態だと吐かすお前の方がキチガイな件 12

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「俺は、本気で睦呀のこと愛してるから。だから、ムウに触れたいし舐めたいし、イヤらしいこともしたい。今は好きじゃなくてもいいよ。ムウの性癖を満たしてあげる。……なあ、俺のこと、嫌いにならないで。ムウの傍にいることを、許して欲しい」

感情を押し殺しても殺しきれない切ないモノを感じて、俺は雄仁の背に腕を回していた。
首筋に額を押し当てると、ぐっ、と力強く抱かれる。

「俺は別に、お前が男でも女でもどうでもいいし、同性愛者でも気にならない。受け入れるとかそういうのは抜きにしてだけど。傍にいたけりゃいればいい。面倒なことは嫌いなんだよ。アレコレ考えるより、自分のしたいことしてる方が楽だろ。俺は、雄仁のこと尊敬してるし、キチガイでマジすげぇって思ってる。仕事一緒にしてて楽しいし、離れたいとは思わない。解ったらさっさと続き、しろよ」

とくとく、と重なった体から雄仁の鼓動が響いている。
心地の良い心音だった。
押し当てた顔を離し、艶やかな瞳を見上げた。

「ムウの褒めポイント、いつも思うけどホント謎よね。可愛い」

ふわり、と綻んだ綺麗な顔が降りてくる。
可愛い要素など自分では何処にも見当たらないが、この男のスイッチを押してしまったようで、額に眉間に眦に鼻に頬に、と顔中に口付けてくる。
あまりにも優しく触れてくるので、抵抗する気も失せ、されるがままにしていると、熱い眼差しを向けられていることに気付いた。
潤んで欲をみせる眼に見詰められ、何処か胸の奥がざわめく。
その感情に名前はなかったが、酷く息苦しく胸が詰まる。

「な、なんだ、よ」
「好きだ。好き。好きだよ」

思わず上擦った声を上げれば、切羽詰まった「好き」が降ってきた。
小さく体を震わせている雄仁は、あまりにも痛ましくて俺はどうしていいのか解らなくなる。
そろり、と伸ばした片手で手入れの行き届いた綺麗な髪を撫でていく。

「もっ、わかったから。それ以上、言わなくていい。嫌いにならないし、俺はお前の傍にいる。大丈夫、だろ?」

こつん、と額を押し付けて笑った。
きっと不安が募ってしまったのだと俺は解釈し、もう一度離れたりしないと告げていく。

「俺、何を奪われても仕方無いって諦めてきたんだ。妹と幼馴染さえいてくれたら、俺の人生、他には何も要らなかった。でも、奪われるの解ってんのに、睦呀のことが欲しくて堪らない。巻き込んで、ごめんな」

全く話の見えない内容に口を開くも、そっ、と押し付けられた唇に言葉は出ていかない。
くちゅり、と水音を立てて舌が入り込んでくる。
舌と舌が触れ合うと下半身に快感が走った。
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