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一章:キチガイ×ヘンタイ

俺を変態だと吐かすお前の方がキチガイな件 04

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俺の髪を梳いている雄仁を視界に捉え、驚愕に目を見開き、見る限り上半身裸の中性的な男を凝視し頭を押さえる。
ガンガンと頭が痛い。
見れば自分の裸体には鬱血の跡がいくつも浮かんでいた。
いわゆるキスマークと言うやつだろう。
真っ青になる顔を両手で覆う。
隣の男はそんな俺を眺めて微笑んでいた。
とても嬉しそうで満足気な顔である。

「おはよう、ムウ。なんにも覚えてない?」
「覚えて、ない」

震える声で記憶が飛んでいる事実を告げると、彼の手が俺の手首を掴み顔から引き剥がした。

「なら、もう一度言うから」

いつものように少し低い女の声で優しく耳元で囁かれる。

「今度は忘れんなよ?」

いきなり低音の男声が耳を擽り、吃驚し過ぎて口が何度も開閉してしまう。
雄仁をまじまじと見遣れば、彼の唇はゆっくりと弧を描いていく。

「アタシ、ゲイなの。ムウのこと、愛してる。好き、なのよ。告白したのに忘れるとか、ヒドイ男ね」

耳をねっとりと舐め上げられ、ひっ、と声が上がった。
頭の中がパニックを起こし、痛む頭が更に痛み始める。

「それに、良いところで寝落ちするし。だからちょっとだけ、戴いちゃったわ」
「何を!? ちょっとだけって、一体何を戴かれちゃったの、俺!?」

ふふ、と悪戯に口角を持ち上げる雄仁に反射的に叫んでしまい、途端に襲う頭痛に眉を顰めた。

「キスしただけよ? 本当は何もかも全て、あんなことやそんなことをして食べちゃいたかったんだけど。それは流石に可哀想かしらと思ってやめたの。アタシの忍耐力に感謝するのね」
「いやいやいや! 同意もなくすんなっ、キスも駄目だろ! ふざけんな、テメェ! 雄仁この野郎!」

一言にキスと言っても、どの程度のもので何処にしたのかは怖くて聞けなかった。
取り敢えず、パンツは身に着けていることに安堵する。


 掴まれている手首に視線を落とせば、雄仁の普段は着け爪に覆われている素の爪が目に入った。
思わず、ごくり、と唾を呑み込んでしまう。

「おま、雄仁。爪、キレー、だな」

ウズウズして堪らなくなるのは、彼の爪の形から色艶から大きさ全てに於いて、俺の好みだったからである。

「当たり前でしょ? ネイリストが汚い爪していたら笑い者よ」
「そういう、意味じゃねぇよ」

俺はどうにも欲求を抑えることが出来ず、思わず縋るように雄仁の瞳を見詰めていた。
興奮で体温が上がっていくのが解る。
自然と目は潤み、頬が上気していく。

「爪、触っても、良いか? 舐めたい」
「別に良いけど。なあに、ムウ。もしかして、爪フェチ?」
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