5 / 13
一章:キチガイ×ヘンタイ
俺を変態だと吐かすお前の方がキチガイな件 04
しおりを挟む俺の髪を梳いている雄仁を視界に捉え、驚愕に目を見開き、見る限り上半身裸の中性的な男を凝視し頭を押さえる。
ガンガンと頭が痛い。
見れば自分の裸体には鬱血の跡がいくつも浮かんでいた。
いわゆるキスマークと言うやつだろう。
真っ青になる顔を両手で覆う。
隣の男はそんな俺を眺めて微笑んでいた。
とても嬉しそうで満足気な顔である。
「おはよう、ムウ。なんにも覚えてない?」
「覚えて、ない」
震える声で記憶が飛んでいる事実を告げると、彼の手が俺の手首を掴み顔から引き剥がした。
「なら、もう一度言うから」
いつものように少し低い女の声で優しく耳元で囁かれる。
「今度は忘れんなよ?」
いきなり低音の男声が耳を擽り、吃驚し過ぎて口が何度も開閉してしまう。
雄仁をまじまじと見遣れば、彼の唇はゆっくりと弧を描いていく。
「アタシ、ゲイなの。ムウのこと、愛してる。好き、なのよ。告白したのに忘れるとか、ヒドイ男ね」
耳をねっとりと舐め上げられ、ひっ、と声が上がった。
頭の中がパニックを起こし、痛む頭が更に痛み始める。
「それに、良いところで寝落ちするし。だからちょっとだけ、戴いちゃったわ」
「何を!? ちょっとだけって、一体何を戴かれちゃったの、俺!?」
ふふ、と悪戯に口角を持ち上げる雄仁に反射的に叫んでしまい、途端に襲う頭痛に眉を顰めた。
「キスしただけよ? 本当は何もかも全て、あんなことやそんなことをして食べちゃいたかったんだけど。それは流石に可哀想かしらと思ってやめたの。アタシの忍耐力に感謝するのね」
「いやいやいや! 同意もなくすんなっ、キスも駄目だろ! ふざけんな、テメェ! 雄仁この野郎!」
一言にキスと言っても、どの程度のもので何処にしたのかは怖くて聞けなかった。
取り敢えず、パンツは身に着けていることに安堵する。
掴まれている手首に視線を落とせば、雄仁の普段は着け爪に覆われている素の爪が目に入った。
思わず、ごくり、と唾を呑み込んでしまう。
「おま、雄仁。爪、キレー、だな」
ウズウズして堪らなくなるのは、彼の爪の形から色艶から大きさ全てに於いて、俺の好みだったからである。
「当たり前でしょ? ネイリストが汚い爪していたら笑い者よ」
「そういう、意味じゃねぇよ」
俺はどうにも欲求を抑えることが出来ず、思わず縋るように雄仁の瞳を見詰めていた。
興奮で体温が上がっていくのが解る。
自然と目は潤み、頬が上気していく。
「爪、触っても、良いか? 舐めたい」
「別に良いけど。なあに、ムウ。もしかして、爪フェチ?」
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる