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一章:キチガイ×ヘンタイ
俺を変態だと吐かすお前の方がキチガイな件 02
しおりを挟む逆に雄仁は、上手く立ち回り、見た目が女性に見えることもあってか、初めから打ち解けていたのだ。
彼なりの気遣いなのかは知らないが、何だかんだと俺と女性従業員との仲を取り持ち、話すキッカケを作ってくれた。
其れだから、良い奴だと呑気に思っていたのだが、大きな間違いであったと後に後悔した。
その日は、会社の皆で飲んだ帰りに、俺のアパートで雄仁と飲み直すことになった。
途中、コンビニで缶ビールと缶チューハイを何本かと、おつまみを買い、単身者用のボロアパートに向かう。
ほろ酔い気分でふらつく足で何とか玄関先に辿り着き、扉を開けて中に雪崩れ込む。
狭い玄関のタタキに靴を脱ぎ捨てて、壁のスイッチを押して明かりを灯した。
雄仁も後に続いて入って来る。
彼は頬を朱に染めながらも、足取りは軽やかで、そこまで酔っていないと知れた。
年上だという気負いもあってか、少々面白くない。
飲むぞー! と声を上げて、袋を引き摺りつつも部屋に入った。
「ムウは飲み過ぎよ」
苦笑を溢して諭すように言われれば、益々面白くなかった。
年下の癖に余裕振りやがって、と彼を睨み付け、部屋の真ん中に座り込んだ。
「うっせぇなあぁあっ! 飲むぞ!」
目の前のローテーブルに、コンビニ袋をドサッと置いて叫ぶ。
中で缶が倒れる音がした。
「もう、ムウは乱暴なんだから」
「男なんてそんなもんだろ。お前が可笑しいんだっ」
ローテーブルを挟んだ向かい側に、雄仁が膝を着いて座った。
手が伸びて倒れた缶を直している。
ふん、と鼻を鳴らし、倒れたままの缶を乱暴に掴むと、プルタブを押し上げた。
ぷしゅ、と小気味良い音が上がる。
「アタシはこれが普通なのよ。大体アナタ、多分勘違いしてる」
「あ? 何がだよ?」
ぐい、と缶ビールを呷りながら、雄仁の顔を眺めた。
複雑そうに歪んだ表情からは、彼が何を考えているのか解らない。
「アタシのこと、女々しい野郎だと思っているでしょ? そんなことないのよ。この口調も癖みたいなものだし。アタシ、バリバリの男よ」
「お前のナリでそんなん言われたって、信憑性ねぇぞ。綺麗な面しやがって」
正直、男が女装をして、似合う奴などそうはいないだろう。
女性として見ても綺麗な部類に入る雄仁は、美形と称しても差し支えない容姿をしていた。
「まあ、無理に信じろとは言わないわ。追々解るでしょうから」
ふふ、と笑って意味深に小首を傾げる雄仁に違和感を感じるも、それを無視して缶を呷った。
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