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一章:親友の異変
光輝親衛隊 05
しおりを挟む神野家と言えば、日本を創生し長い間、神宮(ジングウ/現実世界での天皇のことです)として時勢を治めたとされている。
戦後は日本の象徴として、神としてではなく人間として生活している家系だ。
直系の長男、神野 榊(ジンノ サカキ)は幼等部から清勝学園に通っていた。
宮居(グウキョ/現実世界での皇居のことです)から通学している。
皇太子である榊は、それを感じさせない程の非社交的な男だった。
光輝も和志も幼等部組だが、殆ど喋ったことがない。
無愛想で周りを拒んでいるような男である。
「その話が本当であれ、何かの間違いであれ、外に漏れたら大事だよ、光輝。正式な発表があるまでは内密にして欲しい」
「そんなことは解ってんよ。問題なのは、婚約話が出てる相手に彼氏が出来たって噂になってる方じゃねぇのか、和志。なんか引っ掛かるというか、訳の解らない不安が拭い切れないんだよな。まあ、神野に限って何か事を起こすとは思えないけど、さ。彼奴、悪い奴じゃねぇし」
真剣な顔の和志に片手を上げてみせる光輝だが、困り顔で頬を掻いている。
一人フランス育ちの泰造は肩を竦ませた。
「Tiens(おや/ティヤン)、僕は日本の仕組みにはまだ疎くて良くは解らないけど、この学園にプリンスがいるのかい? 皇太子様は、プリンスで合っている?」
「そ、無愛想で非社交的な皇子様だ。姉妹校には妹の皇女様もいらっしゃる。プリンセスな。確か、和志の従妹と同学年だったか」
皇太子を頭の中で上手く変換出来なかったのか、珍しくも自信なさ気に問い掛ける泰造に、光輝の首が何度も上下する。
グッと親指を突き立てる光輝に、D'accord(なるほど/ダコー)! と笑顔で述べると、泰造と光輝は何故かハイテンションで掌を、パンッと合わせハイタッチをした。
「何にしても、理呼ちゃんが流した噂、早目に何とかしないとね。昼休みに柏木さんのところに行ってみるよ」
「自業自得、ざまあみろ、って感じだけど。俺や誡羽にとばっちりくるのも困るし、頼むわ」
椅子から立ち上がりながら眉間に皺を寄せる和志に、光輝はケッと悪態を吐くも溜息混じりに顔の前で両手を合わせる。
「理呼ちゃんのことだから、ちゃんと考えてはいると思うけどね。ただあの子、普段は頭が回るのに、こと腐った内容になると周りが見えなくなるから。榊君のこと、従兄弟の司にも聞いてみるよ。同じクラスなんだ」
光輝と泰造も立ち上がるのを確認し、和志は扉を開けた。
廊下に出て教室にと向かう道中、1組の前を通り過ぎる。
三人は自然と教室内に視線を向けていた。
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