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一章:親友の異変
光輝親衛隊 03
しおりを挟む光輝が誡羽を好きなことがだだ漏れだったり、泰造が嵐に手を出したと言う事実が判明したり、問い質したいことは沢山あったが、それよりも頭の中がパニックに陥っていて訳が解らなくなる。
元凶の男を探すも教室内にはいないようで、泰造も和志もいなかった。
何とか場を収めようと声を張り上げれば、騒いでいた二人はピタリと止まる。
「告白、されたんやな? はよ言うてよ、それを!」
「カイっち、俺のお兄ちゃんになるのか? 佐倉の兄ちゃんのお嫁さんになったら、俺とも家族ってことでしょ?」
ホッと息を吐き出す嵐に肩を叩かれ、力無く頷く。
健は、ぐすぐすと鼻を鳴らしながら、無邪気な眼差しを向けてきた。
無駄にキラキラとした少年の瞳は汚れを知らなくて否定するのが可哀想に思えてくる程だ。
何処から突っ込めば事態が収拾するのか全く解らない。
誡羽は痛む頭を押さえ、何とか言葉を絞り出した。
「嵐君、健ちゃん。この話はまた後でしよう。学校が終わってから、ゆっくりした方がいいと思う。光輝と雪嵐と堀中も交えてちゃんと話そう。な?」
自分一人ではこの二人をコントロール出来ないと諦め、保護者同伴での話し合いを提案する。
「それもそうやな。光輝に直接言ってやらんといかんな! 俺とケンちゃんが言わんとな! あのアホは何にも解っとらん! な、ケンちゃん?」
「うん、そうだね、京やん! どうしたらカイっちと家族になれるのか、佐倉の兄ちゃんに聞かなきゃ!」
プンプンしている嵐とニコニコと嬉しそうな健は、全く話が噛み合っていないのに、何故か話は纏まっている。
ちょうどチャイムが鳴り響き、四限目の始まりを知らせた。
嵐と健は自分の席に戻って行き、光輝は泰造と和志と共に教室に入ってくる。
自然と三人を睨んでしまうも、気付いたのは光輝だけのようだった。
苦笑を返され、小さく光輝の口が動く。
『ごめん』と動いたように見えた。
きっと彼は、何があったかを察しているのだろう。
それすらも面白くなくて誡羽は、ふいと顔を背けた。
* * * * * *
誡羽が嵐と健の扱いに困っていた頃。
光輝、和志、泰造の三人は生徒会室に赴いていた。
部屋に入るなり泰造が口を開く。
「光輝。噂が流れているけど、まさか本当じゃないよな?」
「あら嫌だ。お代官様ったら、顔怖いわよ?」
目が吊り上がり怖い顔を見せる泰造に、にへらと緩く笑う光輝の頭を和志が叩いた。
「光輝、茶化さない。ごめんね、泰造君。気付いているとは思うけど、今回の件は僕の従妹が絡んでいてね」
「理事長様、か。和志君も大変だな」
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