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一章:親友の異変
光輝親衛隊 02
しおりを挟む目の前に居座るのは、ニヤニヤした顔の嵐と健だ。
何だかんだと授業を受け、終わった途端に囲まれていた。
「なんやなんや、ラブラブしてからに! 光輝がいきなり教室飛び出したのには吃驚やったけど、お手々繋いで戻って来た時には、もうお兄さん大興奮やで!」
「そうそう! 血相抱える佐倉の兄ちゃんとかチョー珍しいしっ!」
背中を二人にバシバシと叩かれる。
興奮気味に告げられていく台詞には瞬きしか返せなかった。
「いや、ラブラブとかじゃないし。二人とも落ち着いて。何もないから」
顔の前で片手を振り否定し、落ち着けと両手を上下させジェスチャーするも、その手を片方は嵐に、もう片方を健に掴まれてしまう。
「何も無い訳ないやんかあ! なんやよう知らんけど、変な噂が流れとるから心配したんやで? 光輝のことシバいたろか、と思っとたんやけど、大丈夫そうで良かったわあ!」
「うんうん、ホントそうだよな、京やん! いくら佐倉の兄ちゃんでも、カイっちがいながら女に手を出すとか有り得ないし! 和志の従妹とか、もっと有り得ない! 俺も兄弟の契りを返さなくちゃいけないとこだったんだよ!」
ずいっ、と腕を引かれ、体を二人に抱き締められてしまう。
何故こんな大事になっているのか、当の誡羽はまるで理解出来ないでいた。
「いやいやいやいや、本当に落ち着け。別に僕と光輝は付き合っている訳でもないし、光輝が堀中の従妹と付き合ったところで何の問題も生じないだろ? いやまあ、噂はデマらしいし、さ。とにかく落ち着こう」
二人を引き剥がそうと躍起になる誡羽の頭に嵐の頭突きが降ってくる。
涙目で嵐は、カイちゃんのイケズうぅぅぅぅっ、と叫び、誡羽の肩口に顔を埋めてしまう。
「佐倉の兄ちゃん、カイっちは特別なんだ! 京やんも俺も、それ解るから、ずっと応援してるんだぞ! だから、だから、裏切られたと思って! ひぅ! 兄ちゃんの大馬鹿ヤロー! 相談してよー! 俺、おとーと、なのにぃぃぃっ!」
「そうやぞ、光輝! 告白ぐらいさっさとしろや、ボケ! 泰造のアホは手ぇ出すの早かったで! 見習えボケ! カイちゃん天然さんの鈍感さんやもん、襲うぐらいしなきゃ解らんやろ! やきもきさせてからに、アホお!」
健はワンワン泣き出し、両手で目元を擦っている。
嵐は誡羽から体を離すと腕をブンブン振り回し怒りを露にしている。
「いや、ちょっ、え、うん。とにかく落ち着けって! 僕、光輝じゃないし、告白ならさっきされた! 襲われなくても大丈夫だから! 頼むから物騒なこと言わないで、嵐君」
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