親友ラバー

Neu(ノイ)

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一章:親友の異変

異変×噂=告白 05

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何かの書類を書いていた松村が、作業を中断させて誡羽の元まで歩み寄る。
本に目を落としている誡羽の肩を叩き、松村が尋ねた。

「大丈夫、です。すいません、迷惑掛けて」
「そんなことないよ? 言ったでしょ。此方は助かってんの。じゃあ、またね」

椅子から立ち上がり扉に向かう誡羽に、松村が手を降り見送った。


 誡羽は、僅かな期待を抱きながら、教室に向かう。
だが、結局光輝は戻っていなかった。
和志ならば何か聞いているかとも思ったのだが、知らないようだった。
誡羽はいつものように掃除をこなし、いつもの四人と一緒に寮へと帰るのだった。




 部屋に戻っても、光輝はいないようで、部屋の中は静かさを保っている。
誡羽は、自室に入り鞄を置けば、部屋着に着替える。
ベッドに腰を降ろすと、ぼすんと上体を倒す。
体が布団に埋もれる。


 帰って来ない光輝を心配に思う気持ちもあれば、何も言わずに居なくなった光輝に憤る気持ちもある。
大きく息を吐き出して、気持ちを落ち着かせようとするも、昨日のこともあり、どんどん心配になっていく。
転校が決まったのかも、とネガティブな思考に陥っているところに、ピンポーン、とインターホンが鳴った。


 がばっ、と勢いよく起き上がり、急いでリビングに向かう。
モニターになっている受話器を上げた後で画面を確認した。

「あ。堀中、どうした?」
「ごめんね、誡羽君。光輝だと思った? 少し話があって」

其処には、和志が映し出されていた。
和志は状況を察してか、申し訳なさそうに眉を下げている。

「や、別に。謝るなよ。今、開ける」

受話器を置いて、玄関まで赴いた。
扉を開け放ち、和志を招き入れる。


 珍しく健は一緒ではないようだ。
和志も部屋着に着替えていた。
制服とはまた違い、背の高さやスタイルの良さが強調されている。


 和志をリビングに通し、並んでソファーに腰を掛けた。
部屋に戻った時に付けた冷房が効いてきたようだ。
寒すぎもせず暑すぎもせず、ちょうどな涼しさを保っている。

「話って、なんだ?」
「うん。光輝から連絡が入って。誡羽君に伝言」

ソファーに座ってから、和志が口を開くのを待つ誡羽だったが、彼は言いにくいことなのか、一向に喋る気配がない。
仕方なく、誡羽から尋ねた。
すると、和志は誡羽を見ないで一息にそう告げて、一旦言葉を止める。

「今日は、帰らないって。明日、直接学校に行くそうだよ。……僕の、従妹の家に、その、泊まるからって」
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