親友ラバー

Neu(ノイ)

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一章:親友の異変

異変×噂=告白 02

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くすくす笑っていた響だったが、ふと眉間に皺を寄せ、音量を落とした。
光輝が真顔で尋ねれば、響は言い淀む。

「僕は、他人の色恋沙汰を噂にするべきではないと思うんだけど。誡羽君が耳にしたら、佐倉もやりにくいかもしれない、よね。堀中との関係も、あるし」

はっきりとは言わない響ではあったが、和志の名が出れば、何と無くは見当が付くようで、嫌な顔を全面に出すのだった。

「和志の従妹のことか? あの女、何をしてくれた」
「堀中の従妹と、付き合って、るんじゃないの? うちのクラスはまだ大丈夫だけど、他のクラスは凄い騒ぎだよ」

光輝の表情に、びくんと肩を揺らす響は恐る恐る告げて窓の方に視線を流した。

「わり、キョンちい。怖がらせたか。付き合ってねぇよ。まあ、良いか。向こうの狙いは解った。情報、あんがとさん」
「役に立てたなら、嬉しいよ。でも、噂って当てにならないね。ごめんね、変なこと言って」
「いや、助かったよ。マッキーとは仲良くやってんの?」

誡羽の腕を掴みながら響に問い掛ける。
マッキーとはクラスメイトの新城 真紀(シンジョウ マキ)のことである。
響とは今年度よりルームメイトになった間柄だ。
こくん、と響の首は縦に揺れた。

「なんとか。怪我、良くしてくるから、手当てとかしてるんだ」
「ほうほう、そら良かった。マッキー、不良だかんな。キョンちい怖がりだし、ちょい心配だったけど」
「うん。最初は怖かった。でも、意外と優しいんだよ、真紀君」
「そうかいそうかい。お兄さん安心したよ。じゃ、行くわ」

ふわり、と微笑む響の頭に、空いている方の手をぽんと置いた。
そうして、手を離せば、誡羽の腕を引っ張り、彼の席まで誘導するのだった。




 誡羽を椅子に座らせ、光輝も自分の席に向かう。
カバンを机の横に掛け溜め息を吐き出す。
こくんこくん、と首が上下に揺れ動き、今にも頭を打ち付けそうな誡羽を遠目に眺める。
噂は誡羽の耳に入れるためであろう。
本格的に動いてきたようだ。
和志の従妹の堀中 理呼(ホリナカ リコ)と言う女は、非常に厄介な人間だ。
目的のためならば手段を選ばない。
彼女は、それを許されるだけの、地位も頭脳も容姿も、そして、人脈も持っていた。
公にはされていないが、前理事長の娘であり、彼の後を引き継いで小学五年生でありながら現理事長を勤めている。
彼女の狙いははっきりとしている。
光輝は如何にして行動を起こすべきか、頭を悩ませていた。
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