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一章:親友の異変
謎の賭事、光輝の謎 02
しおりを挟む誡羽と光輝が、食堂の開き扉を開けて中に入ると、ちょうど混み時のためか、熱気に溢れていた。
カウンターに並んでおばちゃんにメニューを告げる。
お金は寮費に含まれており、其処から引かれているので、食堂では必要ない仕組みである。
誡羽は和食中心の定食、光輝は洋食中心の定食を頼み、横流しでご飯やおかずを受け取り、トレーの上に順に乗せて行く。
座る場所を探していると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「おーい、二人共! こっちや、こっち!」
視線を向ければ、10m程先で、嵐が立ち上がってぶんぶんと手を振っている。
同じテーブルには、泰造と和志に健の三人もいた。
誡羽と光輝は四人のいる方にと歩き始める。
人混みを掻き分け、どうにか辿り着く。
この食堂では、テーブル一つ辺りの定員は6人である。
其れを2つに繋げた計12人掛けが一つの塊になって、あちこちに点在している形になっている。
四人は気を使ってくれたのだろう。
誡羽と光輝の席を確保しておいてくれたようで、向かい合う形で二つ席が残っていた。
右端から和志、泰造、光輝と座り、向かい合って右端から、健、嵐、誡羽と座った。
トレーを置いて腰を落ち着かせるのを見て、泰造が口を開く。
「ごめんね、誡羽君。今日、光輝居なかったんだってね。嵐も一緒に帰らせれば良かったのに、気が利かなくて」
申し訳なさそうな泰造に、誡羽は大丈夫だと首を横に振る。
「いや、気にしないで。雪嵐も生徒会、大変だろ? お疲れ様」
「大丈夫大丈夫。ガキに頼んどいたし。お代官様が気にすることないって」
けらけらと笑って箸を手に取る光輝は、自分が元凶だという自覚がないようだ。
因みに、お代官様とは、光輝が泰造を呼ぶ時に使うあだ名で、嵐のお稚児ちゃんとセットのようである。
光輝のあだ名はどれも独特で、彼しか使っていないものばかりである。
泰造も小等部からの仲らしく、そこら辺の事情については、誡羽は知らない。
解っていることは、泰造と嵐が異様に仲が良く、付き合っているという噂が出回る程の仲良しであること。
二人共、元々は外国生まれの外国育ちで、小学五年の頃に日本にやって来た帰国子女であるということ。
泰造はフランス、嵐はアメリカだと聞いている。
知っているのは、そのぐらいである。
中等部に編入してから、まだ半年も経たない。
そんなものだろうと誡羽は思う。
親友である光輝のことでさえ、何も知らなかった。
カリスマで容姿も端麗。
学校の人気者。
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