11 / 49
一章:親友の異変
自室集合 01
しおりを挟む【自室集合】
掃除の時間、約15分間をこなすと、帰りのHRが始まる。
それが終われば、解散である。
光輝は言っていた通りに用事があるらしく、早々に教室を出て行った。
教室を後にする前に、健と健のルームメイトで光輝の幼馴染みでもある堀中 和志(ホリナカ カズシ)に何やら声を掛けているようだった。
「カイっち! 帰ろう! 佐倉の兄(あん)ちゃんから、部屋まで安全に届けるようにって、任務が下されたんだ。あと、寂しくないようにしろだって! 愛されてるね、カイっちは」
健がとてとてと言った効果音が付きそうな歩き方で近寄って来る。
その顔はニコニコと嬉しそうである。
佐倉の兄(あん)ちゃんとは、健が光輝を呼ぶ時に使うあだ名だ。
何でも、小学四年の頃に兄弟の契りを交わしたらしい。
兄貴分の光輝からのお達しが嬉しいのか、健はご機嫌だ。
その健の後ろを見守るようにして歩いて来るのは、光輝とは幼等部からの付き合いがある和志である。
彼は、中等部一年の寮長を勤めている。
噂では、理事長が従妹だとか言われているが、真偽の程は解らない。
「愛って。健ちゃん、大袈裟だよ」
健の言い種に苦笑いを溢しながらも、学校指定の鞄を手にして立ち上がる。
「泰造は生徒会、嵐君は泰造のこと待ってるって。今日は三人で帰ろうか」
和志を見上げて、了解と笑い掛ける。
和志は、180cm近くある。
見上げることが多いのは仕方が無いだろう。
泰造とは、生徒会副会長の雪嵐 泰造(ユキアラシ タイゾウ)のことである。
泰造は嵐とルームメイトで、とても仲が良いのだ。
誡羽、光輝、健、和志、嵐、泰造の六人でつるむことが多く、一緒にいることが必然的に頻繁になるのである。
しかしながら、当然、個々に用事がある場合、こうやってバラバラになってしまうことは否めない。
今日は、三人で並んで寮までの帰途に着くのだった。
とは言いつつも、学校と寮は、徒歩で五分程しか離れていない。
寮の玄関を潜り抜けて自室に向かう。
誡羽達の部屋は三階だ。
他愛ない話をしながら階段を上がっていく。
「カイっちの部屋行っても大丈夫? 着替えに一旦部屋戻って、和志と遊びに行くよ。寂しいのは良くないんだって、佐倉の兄ちゃんが言ってた!」
にっ、と笑顔でこの後の計画を立てていく健。
そこまで光輝を信頼しているのか、と呆れ半分の半分は感心する。
断る理由もないので、誡羽は頷いてみせた。
「それじゃあ、誡羽君。後でね」
階段を上がりきり、廊下に出る。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる