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一章:親友の異変
罪悪感 04
しおりを挟む床半面を拭き終わり、後ろ側に寄せてある机を前に移しながら、普通の口調に戻った光輝が染々と述べる。
返す言葉が見付からず、沈黙が続く。
友人だったんだ、と付け足すように光輝の口が動く。
「そういうことだから、鍵は締めておいて。合鍵あるから大丈夫」
変な空気になってしまったのを払拭するような、ニッ、とした笑みを浮かべる光輝は、もう半分の床を掃いている嵐と、掃き掃除担当の他のクラスメイトを、机に寄り掛かりながら眺めている。
「わか、った。ごめん、光輝。その」
「なんで誡羽が謝んのさ? 可笑しいのは、無理矢理にでもヤろうとする奴等でしょ。ホラ、元気出して」
よっぽど酷い顔をしていたのか、誡羽の顔を見て光輝が吹き出した。
「笑うなよ! 何だよ、珍しく真面目かと思ったら」
「アハハ、まあまあ。ホラ、後半分、やっちまおうぜ」
掃き掃除担当の生徒からのGOサインを見て、雑巾を目線の高さまで持ち上げヒラヒラと揺らす光輝に、誡羽は嫌な顔を向けつつも雑巾を手に残りの床に向かった。
「ホコリが舞うだろ。雑巾を振るなバカ」
ボソリ、と呟くように文句を口にした後は、掃除に専念するのだった。
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