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一章:好きです、先輩
先輩の危険と後輩の噂 10
しおりを挟む紙コップを掴み一口二口と啜った。
口内に広がる苦味が得意ではない。
そもそもカフェインの入った飲み物をあまり口にしない彰治だ。
珈琲も殆ど飲んだことがなかった。
「別に甘いのが好きって訳でもないんだがな。カフェインに過敏に反応するもんで、滅多に飲まないんだよ。ブラックだと強過ぎるのか何なのか知らんけど、興奮して落ち着かなくなって辛いんだ」
くい、と紙コップを呷り半分ほど飲み進める。
毅が自分のデスクに歩いていくのを確認し、パソコンにと意識を戻していく。
「じゃあ、薬とか効きやすい体質、だったりします?」
んー、と唸りつつ記憶を辿り「そうな」と頷く。
「用法通りだと効き過ぎるから、いつも半分にして摂取してるな。あれ、眠気が凄いだろ? 多分、普通の人の倍ぐらい眠気ヤバイ」
何すかそれ、と毅が笑うのを聞きながら残りの珈琲を飲み干していく。
それを、ジッ、と見られていることに気付き、居心地悪い思いで中身の無くなった紙コップをデスク下のゴミ箱に捨てた。
おかしい、と感じたのは毅の淹れた珈琲で一息つき、10分程が経った時だった。
異様に喉が渇き、体躯は燃えるように熱い。
荒くなる息で口元を押さえるも、自分で触れたところから拡がる甘い疼きに慄(おのの)いた。
ずくん、と下半身に血液が流れ、腰に重たい心地良さがある。
「効いてきたみたいっすね」
何が何だか解らぬ内に近付いて来た毅に腕を取られていた。
掴まれた箇所が酷く熱くて堪らない。
「な、なん、っ」
「本当に薬、弱いんすね。少し触られただけで完勃ちしてんじゃん」
抵抗しようとして全身に力が入らないことに気付いた。
性的に触られてもいないのに、彰治の股間は窮屈そうにスラックスを押し上げている。
狭い空間で大きくなるのは痛みを伴うが、その痛みでさえも気持ち良く感じてしまう。
自分の状態に愕然とし、呆然と毅に視線を移した。
「さっきの珈琲、多目にお薬入れたから、アンタには辛いかもね。そんなに薬に弱いだなんて知らないからさ、確実にと思ったんだけど。ごめんね?」
謝りながらも悪びれた素振りもみせない毅に腕を引かれ、椅子から身体が滑り落ちる。
毅の腕に抱き留められ、そのまま床の上にと押し倒されていた。
「悪く思わないでね、府末先輩。他の男に奪われたら、虎狼の月も目を覚ますでしょ。悔しいけどあの男がいないとダメなんだよ」
何を言っているのか全く理解出来なかったが、危ない状況に置かれていることだけは解る。
だからと言って逃げ出せる状況ではなかった。
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