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一章:覚醒した悪魔
エスの目覚め 04*
しおりを挟むうっ、と呻く声がし、三條は上体を屈め顔を苦痛に歪める。
膝を床に着き、愕然と純を凝視している。
「細いから油断していましたか? 幼い頃から人間の壊し方は叩き込まれているのでね。一応これでも、筋肉もあるんですよ? どこをどう殴れば意識が飛ぶか、動けなくなるか、殺せるか、僕は熟知しています。スポーツマン崩れの貴方なんて、赤子の手を捻るより簡単に倒せますよ」
笑いが止まらない。
ふふ、ふはは、と声を上げて笑うと、堪らなく悲鳴を聞きたくなった。
興奮で息が荒くなる。
「先生。せいぜい僕を愉しませて下さいね? 生命までは取らないので、安心して苦しんで?」
膝を着いている三條の顔は低い位置にあり、純は其処目掛けて蹴りを入れた。
ドゴッ、と鈍い音と共に純の足には重たい物を押し上げる感覚が伝わる。
彼の顔面に純の足の甲がめり込み、三條の体は後ろに倒れ込んだ。
うがっ、と声を上げる三條に近付き、倒れている彼を見下ろす。
「嗚呼、筋肉の塊も役に立たないですね。だって、簡単に倒れる。何の為に鍛えていたのか、解りませんね。これを着けるのにどれだけの労力と時間とお金を使ったのか知りませんけど、全部ムダでしたか。サンドバッグにもならない」
三條は、あ、あ、ああ、と言葉にならない声を上げ、ダラリと脱力した。
背中を床に預け、鼻血を垂らしている。
その血を見て、純は残念そうに微笑んだ。
双眸を細め肩を竦ませる。
その様は、一見儚げで綺麗なものだった。
「制服が汚れてしまうのは勘弁願いたいですし、豆屶が来たら着替えてきますね。……下なら汚れないか」
暫時思案した後、純の足が三條の股間の上で静止する。
何をされるのか察した彼は、ヤメてくれ! と喚き暴れ出した。
とは言え、痛みで満足に動かせないのか、惨めにも体を揺らす程度にしか抵抗出来ていない。
「あは! それで抵抗しているつもりですか? 大の大人が惨めですね? ああヤバイ。ヤバイ。ヤバイ。もっと、泣いて叫んで僕を満足させて下さいよ!」
ニタニタ笑いながら、純の足は三條の逸物を踏み付けた。
片足に全体重をゆっくりと掛けていく。
「ぎっ、ぃ、いぃ、たっ、い、っ、ぅ、あぐ、ぅ」
あががっ、と身悶え白目を剥く三條の股間を思いっ切り蹴ろうとした時だった。
襖が開きお盆を手にした豆屶が入ってくる。
ゆっくりと襖を閉め、現状を眺めた後、豆屶は溜息を吐き出した。
中央に歩み寄り、手術台の上にとお盆を置く。
「若。私は、無茶はおやめ下さいと進言した筈ですが」
苦い顔で転がる三條を見下ろし、純を見る豆屶に微笑みを浮かべる。
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