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二章:訪れた変化

異端児の場合(2)04

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イライラして語調を荒げる俺を遮り、神父は寂しそうに宣った。
俺は訳が解らなくなる。
今、俺がミルに近付くことは出来ない。
神父は同行しないと言う。
過激な連中に襲われる確証はないが、用心にこしたことはないと思うのに、彼は手を貸してくれない。

「俺だって、出来たらそうするよ。でも、肝心のミルに泣かれたら」
「ほら、それが君達の悪いところだ。お互いに話し合いもしないで決めつける。君はミルを傷付けているから会えないと思っているでしょ?」

神父に頬を、ぐにっとつつかれる。
神父の人差し指が肉に食い込む。

「話そうにも話してくれないなら、どうしようもないだろ。大体、嫌いになった以外に泣く理由があるかよ」
「ほら、それだよそれ。君は確かに賢くて、いつも真理を付くけど。世の中、君の理屈だけで回ってはいない。ミルにはミルの理屈があって、ミルにとってはそれが真理なんだよ。フィン、君はもう少し他人を知るべきだ」

人差し指に中指が加わり、二本の指で、ぐにぐにと頬を弄られる。

「説教は今度聞くよ! 今はジョギングの同行を頼みたいの!」
「そうだねえ。確かに最近、変な視線を感じるからな。よし、今回は特別だ。数日の間は私が同行しよう。その間にちゃんと話し合うんだよ?」

神父の指を叩き落として、胸倉を掴んだ。
必死だった。
神父は顎を指で擦り考え込んでから、頷いた。
俺はそれを見て安心する。

「ミサの日に、ちゃんと話すつもりでいるよ。俺だって、ミルとは普通に話したい」
「うん。頑張るんだよ」

そう言って神父と別れた俺は、安心仕切っていた。
神父も俺も、油断していたのかもしれない。
まだ被害のない防犯的意味合いしかなかったのだから、実際に事件が起こるとは、思いもしなかったのだ。
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