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二章:訪れた変化
神父見習いの場合(2)03
しおりを挟む誤魔化せない気持ちに気付いてしまった。
それだからこそ、僕と彼は一緒にいるべきではないのだ。
「どうして、泣くの? ミル、困らせてごめんね。好きになって……ごめんなさい」
すっ、と頬にフィンの指が触れる。
涙を拭われた。
優しい仕草だ。
小さな小さな、掻き消されてしまいそうな声で、切なそうに呟いて、フィンは僕から離れる。
髪を一度だけ撫でて、その温もりは消えていった。
僕は暫く顔を上げられないでいた。
ずっと涙が止まらない。
どうして誰かを愛しく思うのには、こうも痛みが伴うのだろうか。
泣いて泣いて、嗚咽も溢さないで静かに涙を流していた。
「ミルかい? ジョギングは……泣いて、いるのか?」
神父様の歩く音が聞こえてきた、と認識した頃には声を掛けられる。
肩を掴まれて無理矢理向き合わされた。
神父様と目が合う。
それでも、言葉は出ていかなかった。
「フィンと何かあった? ああ、中に入ろうか」
強引でいて優しい手に引かれて、僕は神父様と教会の中へ入って行くのだった。
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