あべらちお

Neu(ノイ)

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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼

秘密の関係(勉強合宿編)05

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「メシア君、おはよ。大丈夫?」
「おはよう、メシア君。愛弥ちゃん、暴走しちゃった? ごめんね。悪気はないと思うから許してあげて?」

班ごとに纏まっているのか、後ろから同じ班の女子に声を掛けられる。
愛弥と仲良しな新山 詩音(ニイヤマ シノ)と櫛田 輪(クシダ メグル)だった。
心配そうに明紫亜を窺う二人は愛弥の特性を理解しているのだろう。
彼女が親しい人間にしか暴走しないと解っているからこそ、フォローを入れるのだ。
明紫亜もそれは解っていた。

「うん、大丈夫。アミちゃんのこと大好きだから。……でも、ルイカと一緒に暴走すると危ないね。僕、吃驚しちゃったよ。まだ心臓バックンドックンしてるもん」

胸に手を当て「うぐぐ」と唸る明紫亜を見て何故か少女二人は頬を赤らめている。
意味が解らずに首を傾ぐ明紫亜に、詩音が問い掛けてきた。

「そ、そんなにヤバかった? 涙夏君に何されちゃったの? うあー、ダメだよお! メシア君おいしい」

両手で顔を隠した詩音はそのまま膝を抱えて膝小僧に額を擦り付けている。
詩音と輪も控え目な腐女子である。
何やら妄想してしまったのか、身悶えている詩音は耳まで真っ赤になっていた。

「べっ、別に、何もされてないよ。お兄ちゃん、って呼んで欲しいって言うから呼んだら、二人して興奮しだしただけで」

兄弟萌えだあ、と胸の前で手を合わせ天を仰ぐ輪と未だに顔を上げない詩音を交互に見遣り、明紫亜は頭を抱えたくなる。

「シノちゃんもメグちゃんも落ち着いて! 深呼吸、しよ?」

これ以上、他人の頭の中で自分のことを性的に妄想されるのも嫌で「すーはー、すーはー、して!」と大袈裟に深呼吸を勧める。

「あ、涙夏君と愛弥ちゃんだ。おはよう、二人共。どうしたの、そんな暗い顔して?」

義一郎の驚いた声に明紫亜も同じ方向へ顔を向けた。
トボトボと歩いてくる涙夏と愛弥は目に見えて惨めな程、どんよりとしている。

「ギーチン、おはよ。メアに逃げられた。嫌われた。神に見放されたら哀れな子羊は生きていけないと思うの。でも、反省したいのに、怯える様も可愛くて萌え滾ってしまう自分に傷心中なのだよ、愛弥さんは」

うぐぐ、と唸り詩音と輪の後ろに座り荷物を降ろす愛弥の表情は何とも形容し難い恐ろしいものだった。

「右に同じく。ごめんな、メシア」

明紫亜の隣にやって来た涙夏のしょんぼりとした顔に胸がざわついてしまう。
荷物を降ろした涙夏の掌が明紫亜の頬を撫でていく。

「反省してるならいいよ。怖かっただけで怒ってないし。二人のこと、大好き、だし」
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