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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼
秘密の関係 97*
しおりを挟む「怖いことはしないから。もう少しだけ付き合って」
髪を撫でていた司破の手が明紫亜の背に回され体を起こされる。
そのまま反転させるように促され思わず司破を窺う明紫亜は不安で一杯な表情を覗かせている。
「し、司破、さ」
「大丈夫だ。俺も一緒に気持ち良くなるだけだから。素股は怖くないだろ?」
されるがままに四つん這いになる明紫亜に背後から覆い被さり耳元で囁けば、彼は小さく頷く仕草をみせた。
「で、でも! これ、だと……顔、見えない、よ?」
顔だけを捻り司破に縋る目線を投げる明紫亜が堪らなく可愛い。
砕けた口調に満たされていく感覚を覚えた。
「顔見えないと、怖いか?」
耳朶に舌を這わせ問い掛けると、明紫亜の体躯がビクつき、ひゃうわ、と裏声に近い高音が飛び出す。
「こ、こわ、っ、い」
ふんぐふんぐ、と何処から出しているのか不明な音と共に彼の首が上下に揺れる。
笑うのを堪えながら明紫亜の菊座から顔を出す輪っかを指で弾いた。
ひぅ、と高めの声を出す彼は涙目で睨んでくる。
苦笑を浮かべ手を離し、明紫亜の頬を指で辿っていく。
「そうか。それは困ったな。今日はこの体勢でしたいんだが。どうしても嫌か?」
「ず、ずるい、です。……きょ、今日だけ、なんですからね! 司破さんの誕生日だから、司破さんの望むこと、何でもして下さい」
ぷくう、と膨らんだほっぺたを突付くと、ふしゅう、と唇から空気が抜けていく。
怒った顔をみせながらも誘うような目で司破を見てくる明紫亜の方が狡いと思う。
乱暴に奪うことは出来ない。
中途半端に許されたお触りは、思いの外に理性を試されるのだ。
「メシア。そんなこと言うと、悪い大人に付け込まれるぞ?」
揶揄する口調で囁き、明紫亜の首筋に軽く歯を立てる。
涙目になった明紫亜の口唇がゆっくりと動いていく。
「し、司破さんは。悪い大人じゃ、ないから、だいじょぶ、だもん」
潤んだ瞳が真っ直ぐに司破にと向けられている。
ああくそ、と自然と飛び出た悪態は何の役にも立たず、司破は欲望のままにアナルプラグの持ち手を掴み、ギリギリまで引き抜いた。
「ひあっ、っ、なん、っ、ぁ、あ、やだ、っ」
抜け出た分を押し込むと、ぬぷん、とひくつく猥路に呑み込まれていく。
目を見開いて首を左右させる明紫亜は唇を噛み締め震える腕で身体を必死で支えている。
「俺は悪い大人だろ? 好きにして良いのか?」
玩具を回転させながら意地悪く問い掛けると明紫亜に睨まれた。
「こわ、いの、っ、しないって、言った、のに、っ! うそつき。司破さんは、悪い大人です」
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