181 / 242
一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼
秘密の関係 86*
しおりを挟むより強い快感に襲われ、握った髪を引っ張った。
司破は表情を変えることなく、吸い上げながら舌先で乳首をクリクリと捏ねている。
「んぁ、っ、あ、司破、さっ! やぅうぅ、っ、そんなっ、した、ら」
ジュルジュル、と自分の胸から響く尖りを吸われる水音にも気持ちが昂っていく。
反対側の突起に司破の指先が柔く触れる。
触れるか触れないかのギリギリのラインで擦れていく感触は、明紫亜の熱を焦らすだけだった。
切ない何かが体内で暴れている。
得体の知れないモノに支配される感覚は怖い筈なのに、それを齎しているのが司破だと言うだけで、もう余計なことなどどうでも良くなってしまう。
ただ目の前の男に溺れるだけでいい。
彼ならばどんな明紫亜でも受け止めてくれるのだ。
今は捨てられた時のことなど考えなくてもいい。
依存して頭の中を司破で埋めてしまえば、きっと楽になれる。
甘えてしまえばいいのだと明紫亜は自身を奮い動かす。
「司、破さ、ん。セックス、した、い。今日なら、頑張れる、……ような気がするから。シ、ヨ?」
明紫亜の手が下にと降り、自身のパンツに手を掛けた。
司破の顔が上がり、上からジッと凝視される。
感情の見えない顔に段々と諦観の色が浮かんでくるのが解った。
はあああ、と大きく吐き出された溜息に明紫亜は動きを止める。
「あのな、セックスなんてもんは頑張ってするもんじゃねぇんだよ。頑張らないと出来ないならする価値もない。言っただろ? メシアがちゃんと過去を清算するまではしない、ってな。自分が愛されることを肯定出来ない内は無理だからやめとけ。雰囲気に流されるセックスは、終わった後に後悔するぞ」
パンツのゴム部分を握り締めて明紫亜は司破を見詰めることしか出来なかった。
己の浅ましさを全て見透かされている気がして泣きたくなる。
覚悟を決めても恐怖は消えてはくれない。
身体が快楽に溺れれば溺れる程に死にたくなるのだ。
それを依存で誤魔化そうとする汚さを正当化したかった。
「だっ、て。誕生日なのに。何もあげられない。僕のこと、要りませんか? 魅力、ない? 司破さんが好きだから。すんごく、何よりも大事だから! だから僕は。頑張りたいって、思って。……それに、僕だって男です。好きな人とセックスしたいって思うのは、間違っていますか? 確かに、愛されるのは怖いし、気持ち良いことだけ考えてても、何処かでぐるぐるしちゃうけど。頑張りたいんだもん」
何とも言い表し難い複雑な感情が綯い交ぜになって込み上げてくる。
昂った感情のままに涙ぐんでしまい唇を噛んだ。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説



こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる