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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼
秘密の関係 45
しおりを挟む「司破さん。照れて、ます? いつもは僕がストップかけるのに、今日は逆ですね。たまにはこういうのもいいかもです、むふふん」
ふおお、と奇声を上げ、何が楽しいのか明紫亜はマッシュルームを揺らし満足そうに頷いた。
照れてねぇ、と呟く司破は顔を隠したまま、指の隙間から明紫亜を窺う。
復活していつもの陽気さを取り戻している様子に口元を弛めた。
「メシア。お前、誕生日いつ?」
唐突な司破の問い掛けに、明紫亜の首が横に傾く。
暫し考え込むように黙っていたかと思えば、徐(おもむろ)に「冬です」と答えた。
「何でそんなアバウトなんだよ?」
片眉を上げる司破に肩を竦ませ、「大晦日」と小さな声で告げる。
顔を隠す手が離れ、その手はそのまま明紫亜の頬を擽った。
「そう。大晦日なら学校も休みだな。帰省すんのか? 小畑さんと過ごすとか?」
「おばちゃん、元々は静岡なんで、一緒に帰省すると思います。司破さんは、誕生日いつですか? そういえば、年齢も知らないです」
寂しそうに微笑み目蓋を伏せるも、思い出したように「何歳ですか?」と問い掛ける。
キラキラと瞳を輝かせる明紫亜に苦笑を漏らす司破の口から「もうすぐ28になる」と返ってきた。
「4月8日が誕生日だから、3日後か?」
「えええ!? もっと早く教えてよ! 今日、5日だから、3日後だね!」
ふごう、と驚愕の声だと思われる奇声を上げる明紫亜の動きが止まり、双眸を瞬かせて司破の顔を凝視している。
「ん? んん? 司破さんの名前って、4月8日の当字ですか?」
首を左右に倒しながら聞いてくる明紫亜に、司破は吐息だけで、ふっ、と笑った。
「さあな。母親は天然で何を考えているのかサッパリ謎な人なもんだから、俺にも理解不能だ。一応、シヴァ神にあやかって、とは言っていたけどな。あやかる必要性が全く解らない上にシヴァ神がどういった神かも知らないで堂々と言い張るような人だ。メシアの好きな謎だらけな人だよ」
興味深そうに司破の話を聞く明紫亜は羨ましそうに目を細めている。
くふくふ、と機嫌のいい時に発する笑い声を上げ、「会いたいなあ」と呟いた。
「落ち着いたら紹介するって言っただろ? いつでも会えるさ」
明紫亜の頬を擽る指が唇にと移る。
湿った其処をゆったりと撫でられ、明紫亜は無意識に舌を覗かせ、長い指に絡ませた。
くちゃくちゅ、と水音が響くのを耳に、我に返ったかのように慌てて舌を引っ込める明紫亜の様に司破が肩を震わせて笑う。
「本当にお前、イヤらしいキノコだな。あんまり煽るなよ」
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