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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼
オリエンテーション 39
しおりを挟む「よくできました。神沼は優秀だな」
ご褒美、と呟きながら明紫亜の首筋を舐め上げる。
ひぅっ、と甘い声を出す明紫亜に気分が高揚していく。
がりっ、と軽く歯を立てた。
「ぁっ、あ、っ、勃っちゃ、から、ダメ」
ブンブンと頭のキノコを振り回し抵抗され、司破は熱い息を吐き出し彼から体を離した。
「お前は、意外と理性が働くな。昨日も、助かった。風呂場でも、部屋でも」
司破の手が明紫亜の頭に伸ばされ、ぼふりとキノコに埋まる。
頭を撫でられる感触に明紫亜は両目を細めた。
「こう見えて名探偵マッシュルームは有能なんです」
くふり、と独特な笑いと共にドヤ顔で告げられる台詞は、司破には理解出来ないものであった。
「あ? なんだよ、名探偵マッシュルームって。メシアのことか? 確かにまあ、マッシュルーム、だけどさ。お前、頭いいしな」
マジマジと明紫亜を凝視するも、嗚呼、と納得を示し、はは、と片手で口元を覆いながら可笑しそうに笑う。
明紫亜の首が横に傾き、んー、んー、と唸り始めた。
「確かに僕こそが名探偵マッシュルームですけど。名探偵に頭の良し悪しは関係ありませんよ。洞察力、推理力、記憶力、構成力、感受性、閃き、そういった能力を総合的に高めてこその名探偵であって、頭の良し悪しでは鍛えられない分類の能力なので、僕の頭の良し悪しなんてものはゴミに等しいです」
司破としては、何故名探偵の話になっているのか、さっぱり解らないのだが、そうか、と相槌を打つ。
きっとこの類の話は、一生相容れることのない価値観なのだろう。
考えるだけ無駄だと深く思考することもなく頷いた。
「ああそうだ。メシアのクラスの副担。恐らくだが、兄と繋がっているから、気を付けろよ。あと保健医の瀬名先生。彼は悪い人ではなさそうなんだが、兄とは遠い親戚らしくてな。兄から探りを入れられたらしい。気を付けるにこしたことはないと思う」
話を戻すように告げる司破に、明紫亜は神妙な顔で、ふむう、と息を漏らす。
「やっぱりあの人、探り入れてたんだ。昨日、僕と司破さんの関係をすごい聞いてきたから、腐女子か何かかと思って警戒してたんですよ。正解でしたね。瀬名先生は、どちらにせよ僕にとっては要警戒人物なので、大丈夫です」
副担の話を人差し指で顎を擦りながらする明紫亜は、瀬名の話になると、うぐう、と奇声を発した。
「は? 要警戒人物ってお前、何かされたのか?」
元より怖い顔が更に怖くなる司破を眺めると明紫亜は、いいえ、と首を横に振る。
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