あべらちお

Neu(ノイ)

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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼

オリエンテーション 34

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こつん、と額を合わせれば、明紫亜の手が司破の股間に伸ばされた。

「だっ、て、司破さんは、どうするの?」

存在を主張している屹立を撫でていく明紫亜の指は、彼にその気がなくとも卑猥に映る。
真っ直ぐに見詰められ、司破は息を呑んで彼の首へと腕を伸ばしていく。

「本当は、あんまやりたくねぇんだが。首、絞めてもいいか?」

明紫亜の首に指を這わせれば、彼は嬉しそうに顔を綻ばせた。
えへへ、と笑って頷く明紫亜は年相応に見え、その分だけ今から行う行為の異常性が際立つように思え、体が熱くなる。

「僕、司破さんに首絞められるの、大好きですよ?」

無邪気にそう告げる明紫亜に溜息を吐き出す。
バーカ、と軽く頭突きをして苦笑を溢した。

「喉仏、潰れると声が出なくなるから、やり過ぎは良くねぇんだよ。せっかく可愛い声してんだ、大事にしろよな」

ぱちくりと双眸を瞬かせた明紫亜の唇がゆっくりと弧を描き、幸せそうに微笑んだ。
うっすらと目尻に浮かぶ涙を誤魔化すように目蓋が綴じられる。

「司破さんのこと、もう、すっっごい、愛してます。どうしよう、どうしたら伝わりますか? やっぱり、セックス?」

くふくふ、と独特な音が彼の口から漏れ、目を開けた明紫亜の首が、くたりと傾いた。

「お前な。セックスから離れろ、馬鹿キノコ。もう十分伝わってる。それでも、ってんなら、もっと甘えろ」

明紫亜の首に掛けた手が頬にと移動し、さわりと撫でていく。
司破の表情は柔らかく、はわわ、と明紫亜の口が動いた。

「んー、んー、甘えるの苦手なんですよ。汚い僕に甘える資格なんてないから」

暫時、困ったように考え込むと明紫亜はそう告げて視線を落とす。

「あ? お前が汚いかどうかなんて、俺が決めんだよ。勝手に決めてんな、キノコの分際で。ああくそ、忌々しい。誰に言われたかは知らないけどな、お前はお前の価値観で、ちゃんと自分を評価してやれ。お前をちゃんと評価している人間の言葉を信じろ。不当に評価されたことなんか間に受けるな。自分のことだろ、他人の評価よりも自分の評価を信じろ。メシアはすげぇキレイだ。全部、キレイだ。体も心も、眩しいぐらいにキレイだ」

眉を吊り上げ怖い顔を更に凶悪にした司破の手が、明紫亜の頬を掴み、上下左右に伸ばした。
怒ったように告げていくも、ふっ、と息を吐き出すだけの笑みを漏らし、触れるだけのキスを施す。

「司破さんって、時々教師みたいなこと言いますよね」

ぐふふ、と笑うと明紫亜は自分から司破の唇をペロリと舐めた。
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