あべらちお

Neu(ノイ)

文字の大きさ
上 下
13 / 242
一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼

やじるし 11*

しおりを挟む


喉から首筋の血管に移動し、太い血管を少し外して、肉が千切れそうな程の力で噛み付いた。
口の中に血の味が広がる。
そこまで抉れてはいないが、少しだけ肉が捲れていた。

――嗚呼、美味いな。

青年は恍惚の表情で血を流す患部を二度三度と歯を立て、ジュルリ、と血を啜る。
肉を抉るように舌先を捩じ込み、また吸った。

「はぅぅぅんっ! あっ、はっ、いっ、ちゃっ、た」

青年の唇が傷口を吸い上げた瞬間、ぎゅっと目を瞑り、唇を噛み締めて、少年はとろりとろり、と勢いのない精液を垂れ流した。
青年は少年が気を放つ表情を目に、擦り合わせていた屹立から白濁を放ち、少年の陰茎と腹に掛ける。

「あっ、ねっ、え? とま、んない。お、兄さ……」

ダラダラと止まらない射精に戸惑いの声を上げ、助けて、と言うように伸ばされた片手を掴んだ。
布団に押し付けると、少年の体をもう片腕で抱き締めた。

「おまっ、えな! キノコの分際で、俺を煽るとか、巫山戯んな」
「そんな、の! 知りませんよお。それ、より、とまんなっ、い、です。……もっ、と、噛んで……下さいよー」

怒ったように頭でグリグリと頭頂部を攻撃してくる青年に、それでも甘えた声でマッシュルームを押し付ける。

「そのうち止まんだろ、垂れ流しとけ」
「えー、鬼畜だなあ、もう」

文句を言いつつも、何処となく嬉しそうに微笑んで少年は青年の顔を覗き込んだ。

「お兄さん、名前なんて言うんですか?」
「あー、起きたら教えてやるから。風呂入って寝るぞ」

ぎしり、と音を立てて、青年は少年から体を離す。
ベッドから降りて浴室に足を向けた。

「約束ですよ?」

青年の後を追いながら念を押す少年の頭を叩く。
叩かれたところだけ、キノコがボブンと沈み、そしてまた元に戻った。

「その髪、ホント刈れ」

くっ、と悔しそうに青年の口から笑い声が漏れる。
ぶはっ、と噴き出し、可笑しそうに歪む顔で怒った声色が少年に命令した。

「無理言わないで下さいよ」

キノコを庇うように抱えて、ノー! と少年は拒否する。

「せめて縮毛掛けて整えろ」

少年が振る首の動きに合わせて、ぶるんぶるんとキノコが揺れ動く。
首を揺らすな、と少年の顔を手で挟み込んだ青年の顔は本気だ。

「僕からキノコさんを奪わないで下さい!」

ギャーギャーとバカなことを言い争いながら風呂場に辿り着いた。
気付けば少年の射精も止まっているようだった。


* * * * * *


 ちゅん、ちゅん、ちゅん、と小鳥の囀る音が耳を擽り、少年は寝返りを打つ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

少年達は淫らな機械の上で許しを請う

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...