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二章:大学生アリスと社会人兎の擦れ違い
アリスの学生ライフ 10
しおりを挟むからから、とトイレットペーパーを引き出した翔の手に下半身を拭かれるのを享受する。
架もトイレットペーパーを手に取り、精液に塗れた彼の逸物を清めていく。
互いに互いの身体を拭き合い、汚れたトイレットペーパーを流した。
乱れた服を正し、トイレを出ようと翔の手を借り便器から降りる。
膝がガクガクと震え言うことをきかず、立つのも怖い状態だったが、自分より背の低い翔の肩に掴まり、何とか公衆トイレから外にと出た。
公園の一角に佇むひっそりとした公衆トイレで、周りには人もいない様子だった。
昼下がりの明るい公園を、小さなスーツ姿の男に掴まりへっぴり腰で歩く不良な見た目のスーツ男の図は、顔見知りでなくとも誰にも見られたくないものだ。
そこまで利用されていない公園なのだろう。
架としては非常に助かったと言える。
「大丈夫? 家に薬あるかな? 長田さんに連絡」
然りげ無く腰を支えてくれる翔が片手でスマホを取り出そうとするのを必死で止めた。
「しなくていい。死ぬまでネタにされんだろ。やめてくれ。オサダさんから絶対にお袋に伝わって、親父に伝わるんだ。何の拷問だよ」
一歩一歩を踏み締めるようにゆっくりと足を動かし「薬ならあるから」と告げる。
目を瞬かせた翔の無言の微笑みが恐ろしくて何を考えているのかは聞き出せない。
ロクなことではないだろう、と覚悟だけ決めて今は歩くことに集中することにした。
* * * * * *
何とか電車に乗り込み家まで辿り着く。
父と母は仕事なのか、不在のようだった。
長田はキッチンで夕食の支度をしているようで、いい匂いがしてくる。
翔に連れられて曲線状の階段を一段一段上がっていく。
下半身に響く不快感を堪えて架の部屋に入った時には息も絶え絶えだった。
ベッドまで辿り着くと、ぼすん、と背中から倒れ込む。
はあはあ、と肩で息をし、片腕で顔を隠した。
下半身を覆う鈍痛に動くのも喋るのも何もかもが億劫になる。
「薬、何処にあるかな? 責任持って僕が塗ってあげるよ」
顔を隠す腕を掴まれ横に動かされた。
さらり、と非対称の前髪を翔の指が払い、額同士がぶつかる。
「一階のトイレ。戸棚の一番下に箱があって、其処に入ってる」
そっか、と返事をした翔の顔が離れていくのが寂しくて、架は思わず彼の腕を掴んでいた。
「ぎゅう、は?」
無意識に発した甘えるような気怠げな声が、自分のものだと気付き、慌てて腕を放す。
「ちがっ、今の、違う」
「違うの? ぎゅう、しなくていいんだ?」
架の首が左右に動く度に、ベッドがキシキシと音を上げる。
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