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二章:大学生アリスと社会人兎の擦れ違い
アリスの学生ライフ 07*
しおりを挟む「ひっ、ぅ、っ、いっ、っっ、てぇ、よ」
抜けよ、と捻り出した声は不様な程に震えてしまう。
背中に当たるタンクの冷たさがヤケに体をさす。
ぐぐっ、と腿裏を押され、臀部が持ち上がった。
宙に浮いた足の爪先がタンクを蹴る。
「すき、すき、好きなんだよ。カケルが愛しくて、全部、君の全てを僕のモノにしてしまいたいんだ。……喪うのは、もう嫌だ」
泣きそうな顔で上から性器を打ち付けてくる翔に、架の胸には憤りが渦巻いた。
なんて勝手な男だ、と怒鳴り付けてやりたかった。
「ばっか、やろ、っ、っっ、俺は、おれ、もう全部、っ、ショウにあげた、だろ」
便器の上で不自然な体勢の中、翔の頬に手を伸ばす。
架を痛め付けている張本人の癖に、自分の方が傷付いた表情で腰を引く翔の顔を掴み強引に引き寄せた。
唇をゆっくりと合わせていく。
憤りに身を任せ架は彼の上唇を舌でなぞる。
言葉では伝わらない気持ちがあるのだろう。
どんな言葉で、傍から離れない、などと伝えたところで、翔には届かないのだ。
温もりを分け合い肉体を重ねたとて、少年の抱える闇は消えたりしない。
それでも、架に出来ることはただ彼を受け入れることだけだった。
「っ、くっ、そ、……っ、いっ、てぇ、な」
男を受け入れる準備も不十分に挿入された直腸が痛みと圧迫感に悲鳴を上げている。
眉を顰(しか)めつつも、架は両足で翔の腰をホールドし、自ら男性器を呑み込んでいく。
「ほら、もっと腰振れよ。お前の望むことを、俺は拒んだりしねぇかんな。どんなに痛かろうが、苦しかろうが、ショウが望むなら受け入れてやる。……乱暴にしたきゃ雑に扱え。壊れてから後悔すんじゃねぇぞ、バカが」
狭い路が無理に拓く音が痛々しく体内から響いても腰を揺すり、挑発するように嗤う。
「どうして君は……っ!」
翔の切羽詰まった表情が酷く悲しく見えて無意識に「馬鹿野郎」と呟いていた。
独りで生きることに慣れている翔を責めようとは思わない。
何があっても本心を他人に悟られまいと必死で生きてきたのだろう。
それをどうこう言うつもりはなかった。
家族であれ、恋人であれ、踏み込めない領域は必ず存在するのだ。
「ぅあ、っ、っ、ぁっ、ぐぅ、っ、ぅ」
奥から引き摺り出されていく排泄感にも似た違和感と、ずちゅん、と力任せに奥まで押し込まれる圧迫感を交互に与えられる。
痛みに呻く架の目尻には涙が溜まり、翔の舌が其れを舐め取っていく。
何も見てはくれない瞳を見詰め、何度も「好きだ」と繰り返す。
近付いてはいけないところまで行きたかった。
伸ばした手で翔の頬を撫でる。
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