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一章:不良アリスとみなしご兎
不良アリスとみなしご兎の幸せ 13*
しおりを挟む男の俺から見ても可愛らしい彼は、俺に欲情しているのだ。
背徳感が背中を撫でるように、ぞくりとした感覚が這い上がってくる。
ぐっぐぐぐ、と翔の先端が中に入ろうと、搾まりを掻き分けるようにして侵入を開始した。
引き裂かれてしまうのでは、と思う程に其処は痛みを訴えてきた。
息が詰まる。
ただでさえ狭い器官を、自然と締めてしまい、翔も痛いのだろう、息を止めていた。
「カケル。力、抜こうか。こっちに集中して」
まだカリも入り切らないところで、侵入が止まる。
俺の目からは涙が溢れていた。
情けないが本気で泣いていた。
そんな状態を打開すべく、翔の手が俺の股間に伸びる。
痛みで元気を無くした屹立を握り込まれる。
柔く上下に扱かれ、感じ入ったところで、ぐんっ、と翔の腰が進んだ。
感じたことで力が抜けたのだろう。
一気に亀頭まで捩じ込まれた。
一番太いところが入ってしまえば、後は楽だった。
ぐちっ、と粘膜が音を立てながら、俺と翔の股間はぴったりと重なり合った。
奥まで全て呑み込んでしまったようだ。
物凄い圧迫感に上手く呼吸が出来ない。
「ひとつに、なれたね。僕、幸せだ。大好きだよ、カケル」
はっはっ、と苦しい呼吸を繰り返す俺の頬を、翔の指が撫でた。
片手はまだ俺の息子を握ったままである。
俺が落ち着くまで待ってくれているのだろう。
翔は、奥に入れたまま動かない。
だが、ゆっくりと翔の手が動き出す。
挿入の痛みで萎えた俺の性器に、翔の指が絡み付く。
優しい動きで上下に揺れ、焦れったい気持ちになった。
柔らかい快感だ。
何故だか、無性に泣き出してしまいたくなった。
今、翔と一つになっている。
繋がっているのだ。
胸が一杯になる。
可愛いようで腹黒くて、何を考えているのか解らないことが多い翔だが、やはり愛しいのだ。
翔の背中に腕を回した。
ぎゅうっ、と力を込めて抱き締める。
先程から止まることのない涙は、顔をぐしゃぐしゃにしている。
「ど、うしたの? 怖い?」
そんな俺に、優しく問い掛ける翔に、自然と笑みが溢れた。
「ちが、う。幸せ、だ。俺も。やっと、近付けた気がする。もう、独りになんかさせない」
「うん。カケルがいれば、大丈夫だよ。独りじゃない」
額をこつんとくっつけて、二人で笑い合う。
そうして、俺自身を掴んでいた翔の手が外れ、顔の横に両手がやって来る。
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