アリスと兎

一章：不良アリスとみなしご兎

不良アリスとみなしご兎の幸せ 12＊

俺は堪らずに、顔を覆う手を翔の頭に移動させた。
髪を掴んで引き留めようとするも、時既に遅く、指と舌が交互に出入りを繰り返した。
それも凄い速さで、だ。

「ぅあっ、ぁっ、ふっぅん、やっぁっあ」

ぐじゅぶじゅ、と音を響かせて抽挿される。
不意に、頭が真っ白になった。
快感に体がぶるぶると震え出す。
こりっ、としたところを、翔の指が引っ掻いている。
にゅぽん、と舌が抜けた。
くいくい、と指でしこりを刺激され、俺は発狂しそうになる。
それほどの快感だった。
腰がじーんと痺れ、お腹の奥の方がきゅんと疼いた。

「そっ、やぁ、やめっ、ひっ、ひんんぅ！」
「やめてって、腰動かしてるのに？　カケル、アヘ顔だ」

気付かない内に黒目が上を向いた。
はっはっ、と荒い息の中で、ＡＶ嬢のようなあられもない声がひっきりなしに口を出る。
無意識に翔の指に腰を押し付けていた。
翔に笑われているのに、それすらも認識出来なくなっていた。

「指、増やしても大丈夫？　カケル、もっと乱れて」

もう一本、指が添えられ、ずぶずぶと臆することなく埋められた。
二本が一緒になって俺の内壁を擦っていく。
ぐぱぐぱと入口は指の形に収縮し、あれだけ狭くてきつかったのが嘘のように、難なく二本の指が体内を犯していく。


　だが、翔はなかなかしこりには触れてくれなかった。
俺は一度得た快感が恋しくて、恥ずかしいが自分で腰を動かした。
くすり、と翔が笑みを溢す。
かああっ、と顔が一気に真っ赤に染まる。

「可愛い、カケル。此処が良いんでしょ？　ほら」
「っひん！　あ、もっ、と、しょう！」

翔の指先がしこりを掠め、身体中に電流が流れる。
こんな快感は知らない。
一人で慰めるのとも、先程抜き合ったのとも違う、得体の知れない、可笑しくなってしまいそうな快感だ。
俺は背中を反らして喘いだ。
首をイヤイヤと左右に振った。
俺の雄は、また元気を取り戻し、堅く天を向く。
とろっ、と先端から透明な液が流れ落ちる。

「カケル。もう良いよね。まだ痛いと思うけど。ごめんね、限界。中、入りたくてウズウズしてるんだ」

受け止めてね、と可愛い声色で物騒な台詞が聞こえてきたかと思えば、ずぼん、と指が引き抜かれた。
ぴと、と熱くてぷにっとした物が狭間に宛がわれるのが解った。
気付けば、翔の顔が真ん前に来ている。
顔の横に手を着かれていた。
いつの間にか、逃げ出せない体勢になっている。
翔の頬は桃色に染まっていた。