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一章:不良アリスとみなしご兎
不良アリスとみなしご兎の幸せ 06*
しおりを挟む「有り難う、カケル」
俺の隣、ちょうど腹辺りに翔が座っている。
微笑み掛けられ、目を逸らす。
改めて礼を言われると照れる。
「別に。兄貴んなったんだ。弟の世話みるのは当たり前だろ」
翔を見ないまま告げると、顎を掴まれた。
翔の指が、俺の顎に指を掛けて上向かせている。
「兄弟だから、だけ? 僕達、どういう関係になるのかな? 僕のこと、好きって言ってくれたよね。恋人には、してくれないの?」
反対の手が顔の横にある。
乗り掛かるようにして身を乗り出す翔の顔が、すぐ目の前にあった。
切なさそうに目を眇めている。
「すっ、好きじゃなきゃ、一緒に住まねぇよ。その、恋人って、どうやってなるもんだ? いまいち良くわかんねぇ。でも、俺は、翔を愛しく思ってる。一生守ってやりたい。だから、パートナーになってくれたら、嬉しい」
真剣な話だ。
翔の目を見詰めて、自分の気持ちを告げる。
恋人になると言うよりも、パートナーになると言う方がしっくりきた。
男同士での結婚は、未だに難しい。
恋人のままで終わるのは嫌だった。
色々な場面で、パートナーになれたら、きっと幸せだ。
お互いに支え合うパートナーでありたい。
そう切実に思う。
「うん。僕も好きだよ。愛してる。ずっと、パートナーでいるよ」
翔の顔が落ちてくる。
見えなくなったと同時に、唇に柔らかいものが触れた。
翔の唇だ。
俺は目を閉じて受け入れた。
「ねえ、カケル。シテも良い? 僕のモノだって、印をつけないと不安なんだ。誰にも奪われたくない」
少しだけ唇が離れて、切羽詰まった顔を見せる翔。
俺の答えを聞く前に、服の裾から手が入り込んでいる。
脇腹を、つぅーと逆撫でて胸の突起までやってくる。
「ちょっ、まだ返事」
してない、と言う言葉は荒々しいキスに塞がれた。
「……っ……ぅぁっ、んぅっぅ……」
上唇と下唇の隙間を舌で割られ、口腔内にねっとりとした舌が入り込んでくる。
歯列をなぞり、舌と舌が絡まる。
自分の小さく漏れる声と、粘膜が絡まり合うじゅぶじゅぶという音に、体が余計に火照った。
ただでさえ、翔の手は乳首を弄っているのだ。
男の胸など触って何が楽しいのかと思うが、くねくねと執拗に捏ねられていると、得も知れぬ感覚に襲われる。
捏ねられている片方だけが、微妙に膨れているような気に陥る。
実際に大きくなっているのだろうか。
最初は米粒程もなかった其処は、翔の指で摘める程になっていた。
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