19 / 33
一章:精神病×難病×家庭教師
恋愛初心者 01
しおりを挟む【恋愛初心者】
夜、20時頃に目が覚めた。
中途半端な時間に起きてしまった、と枕元の携帯を見て思う。
七海からのメール一件のみで、他には何もなかった。
体調を気遣うメールに返信し、俺はベッドから降りて、一階にと向かった。
両親と軽く会話を交わし、風呂場にと直行する。
浴槽には、既にお湯が溜まっていた。
誰か入ったのだろう。
まだ暖かいので、そのまま入ることにする。
替えの寝間着と下着、バスタオルを用意し、脱衣所で衣服を脱いでいく。
正直、病気になってからは、お風呂の時間が憂鬱になりつつある。
入っている時は良いのだが、出た後に四肢を動かすのに苦労してしまう。
血行が良くなるからだろうか。
メカニズムはいまいち理解出来ないが、あまり熱いお湯や長風呂はしなくなった。
体が動かなくなるからと言って、お風呂に入らない訳にもいかないので、なるべく症状が出ないようにするしかないのだ。
本当に不便な体である。
お風呂に入るだけで鬱々としてくる。
暗くなる気分を追い出そうと、首を左右に振った。
やめだやめだ、と呟いて考えることをやめる。
無心で裸になり、浴室にと入って行くのだった。
お風呂から上がり、ロングタオルを首に掛けて部屋に戻る。
某テーマパークの鮫のイラストが描かれた白地のタオルだ。
まだ体が動いていた頃に、七海やクラスメイトと行った。
その時の記念品だ。
今でも行けるのだろうが、気持ちが塞いでいたため、そういった気分にもならなかったが、椎名さんとなら楽しめそうだと思う。
自然と口許が綻んだが、あることに思い至り、肩を落とした。
椎名さんは精神病である。
人混みは嫌いな筈だ。
無理だろうなあ、と呟いて、背中からベッドにダイブする。
ぼふん、と布団に体が沈む。
だるさを訴えている体は、すぐに眠気を連れてくる。
考えたいことが沢山あるのに、俺の頭は眠気で働かなかった。
そのまま眠りに落ちてしまうのだった。
うええ、と目の前の男は意味不明な擬音を発した。
七海は銜えているストローをガリッと噛んで、俺の顔をマジマジと見詰めている。
「え、えーーっ!? なに、チューしといて返事は後日? お前等どうなってんの? 七海君、理解に苦しむし!」
翌日の学校、昼食時に、例の職員室前の中庭にて。
先日の出来事を七海に告げた。
俺は箸で白米を掬い上げて七海を見返す。
目と目ががっちりと合うと、七海は何故か悲しそうに眉を潜めた。
1
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
[BL]デキソコナイ
明日葉 ゆゐ
BL
特別進学クラスの優等生の喫煙現場に遭遇してしまった校内一の問題児。見ていない振りをして立ち去ろうとするが、なぜか優等生に怪我を負わされ、手当てのために家に連れて行かれることに。決して交わることのなかった2人の不思議な関係が始まる。(別サイトに投稿していた作品になります)

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる