ツンデレΩは噛まれたい

齊藤るる

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出会い編

寝相

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その朝、目を覚ましたハルは驚いた。

お互い、まるで子供のように寝返りを打っていたらしい。ユキは獣型のままで、無防備にへそ天をして寝ている。そのリラックスした姿に、思わず微笑みがこぼれそうになる。ハルは、キングサイズのベッドの端っこにぎりぎり収まっており、まるで飼い犬にベッドの真ん中を占領され、居場所を失った人間のようだった。

「すごい体勢だな…」と呟きながら、ハルはそのままベッドから動かず、ユキの隣に横たわる。

「寝起きのモフモフは最高だな~…」

ふわふわの毛並みを撫でながら、夢見心地でそのままもう少し寝てしまおうと大きくあくびをする。特にお腹の毛が柔らかくて、羽毛のように気持ち良い。顔をその柔らかさに埋めて、しばらく幸せなひとときを楽しんでいた。

その時、ユキが寝ぼけながら大きくあくびをした。

鋭い犬歯が並び、口の中が深くて、まるで小さな動物を一飲みにできそうなほどの迫力だった。その凶悪な様子に、一瞬ハルはドキリとする。しかし、ユキはすぐに何事もなかったかのように伸びをし、再び寝息を立て始めた。

「へそ天のまんまで寝るとか、幸せそうだな……」

ハルはユキの前足に手を伸ばし、そっと握った。肉球は固く、大きい。

そのまま、穏やかな時間が流れる。ユキは無防備に眠り続け、心地よさそうに寝息を立てている。

そして、ふと気づく。

「……あれ?」

ハルは一瞬、目を疑った。ユキの体に明らかな変化が起きていることに気づいたからだ。

「これ……まさか…」

ユキの後ろ足の間から、異常に目を引く物が見えた。

今、へそ天で寝ているユキがで無防備におっ広げた後ろ足の間、毛の生えた皮の先端からちょんと、赤い亀頭の先端が覗いていた。

犬科のペニスは、通常時は毛の生えた皮の中に収まっている。それが興奮すると膨張し、皮からペニスが出てくるのだ。その形状は知識としては知っていたが、実際に目の当たりにするとは思わなかった。

(…朝勃ちしてるのか…?)

犬の朝勃ちなぞ聞いたことがないが、人型と犬型を行き来するワーウルフならではの現象なのかもしれない。

ハルも健全なオトコノコなので、興味を隠せない。呼吸にあわせてひくひくと動くソコの下には立派な睾丸も見られるし、オスとして申し分ない逸材だということが分かる。

ハルはそれをまじまじと見て観察していたが……


「うわっ!!」


そして突如、突然視界が一転する。

ユキが一瞬で人型に戻り、ハルの目の前に覆いかぶさるようにして顔を覗き込んできた。金色の目が鋭く光り、その視線がハルに向けられる。


「……朝からドコ見てんの」


寝起きのユキの声は少し掠れていて、低い。眩しさで目をショボつかせている。

顔が近すぎて、ハルは思わず体を硬直させてしまう。ユキの裸の姿に、冷静でいられるはずもなく…
しかも、筋肉が程よく付いた胸板と、茶色く丸いふたつのオスの乳首がハルの視界に飛び込んできて、いけないものを見てしまったかのようにハルは咄嗟に目を逸らした。


「わ、悪い…!」


言葉が詰まるハルは、顔が真っ赤になるのを感じた。
ユキはその反応を楽しんでいるようで、クスリと笑う。


「ハルのえっち」

「えっちって…!朝からあんなになってたら、見たくなくても見えちゃうだろ!」


ハルはドキドキと心臓が早鐘のように打っている。至近距離なのも、裸なのも、刺激が強すぎる。


「ふーん?」

「うっ……!」

「まあ、これは生理現象だからねえ…」

「わ、分かってるよ!だから謝ってんだろ」


さらにからかうような仕草をした後、ユキはようやくベッドから降り、寝巻きを手に取った。

長い手足に引き締まった筋肉。その動きには無駄がなく、一糸纏わぬ姿が朝日に照らされている様子は、まるで美術彫刻のようだ。形のいい尻まで堂々と見せつけられたハルは、思わず目を逸らしそうになりながらも、見ずにはいられなかった。


「ハルになら、いくら見られてもいいけどね。そういうのは……いずれ、ゆっくりね。」

「………!!」


最後の一言に、完全に言葉を失ったハル。
ユキが投げてきた余裕たっぷりの視線に、内心で完敗を宣言するしかない。
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