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出会い編
抵抗
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⚠️直接的な暴力表現があります。苦手な方はお気を付けください
「え…ちょっと、待て…!」
ハルは軽いパニックに陥り、もたれかかるように倒れていた姿勢から立ち上がろうとした。
だが、それを見たタチバナが容赦なく肩を押し返す。
がん!
トイレタンクに頭を打ち付けられる。
「っぐぁ…!!」
激痛とともに、視界がぐらついた。脳震盪を起こしたのか、頭がぼんやりして、やがて強烈な耳鳴りに襲われた。
ふらついたハルの身体は力なく、蓋の閉まった便座の上に倒れた。
「くそっ…っ!くそっ…!」
タチバナの苛立ちが空気を刺すようだった。
ハルは意識が遠のいていく中、何かが自分の身体を触れている感覚だけをかろうじて察した。
「……う……」
震える指先が不器用にベルトを引っ張るのを感じる。頭は霞み、身体も思うように動かない。
ようやくベルトが外れ、ズボンが無造作に引き下ろされる。
(やめろ……!)
手を払いのけようとするも、力が入らない。指先が冷たく、痺れるようだ。
その時、タチバナが手をうなじのカーラーに伸ばしていることに気づく。
「くそっ、何だよこれ、どうなってんだ…!」
タチバナが不満げに舌打ちする音が聞こえた。
カーラー、それはオメガの命を守る最後の盾。
発情期を迎えるオメガが、無理やり番いにされることを防ぐためのもの。
ハルは今は発情期ではないため噛まれても番いにはならないが、レイプされそうになっているこの状況では、カーラーごときでは身体も矜持も守れない。
「嫌だ…やめろ…」
弱々しく抗うハルの声を無視して、タチバナは手を尻に伸ばす。タチバナの湿った手が尻を這い、ハルは嫌悪感と恐怖で、必死に抵抗する。
「何で濡れてねぇんだよ…!!」
忌々しげに唸りながら、タチバナは手に唾を吐き、それをハルの尻穴周辺になすりつける。
「やだ…!いやだ…!!」
ハルの必死の抵抗も、成人したアルファであるタチバナの腕力にねじ伏せられる。
決死の思いで脚を振り上げ、タチバナを蹴り飛ばそうとしたその瞬間――
バツン!
拳が容赦なく頭部に叩き込まれる。
目の前が白くなり、響く痛みと恐怖。成人男性の暴力に抗う術もなく、全身が萎縮する。
「うるせえっ!黙ってろ!」
狭いトイレ個室の中、響く物音。壁やドアに身体がぶつかり、器物破損しそうな勢いだったが、興奮したタチバナは脇目も振らず、目の前のオメガを組み敷くことだけを考えていた。
タチバナは自身の男根にも唾を塗りつけると、ハルの背後にその凶器を押し付ける。
(いやだ……!誰か……!助けて!!)
必死の思いで心の中で叫ぶ。だが、狭い空間にはその声すら届かなかった。
「え…ちょっと、待て…!」
ハルは軽いパニックに陥り、もたれかかるように倒れていた姿勢から立ち上がろうとした。
だが、それを見たタチバナが容赦なく肩を押し返す。
がん!
トイレタンクに頭を打ち付けられる。
「っぐぁ…!!」
激痛とともに、視界がぐらついた。脳震盪を起こしたのか、頭がぼんやりして、やがて強烈な耳鳴りに襲われた。
ふらついたハルの身体は力なく、蓋の閉まった便座の上に倒れた。
「くそっ…っ!くそっ…!」
タチバナの苛立ちが空気を刺すようだった。
ハルは意識が遠のいていく中、何かが自分の身体を触れている感覚だけをかろうじて察した。
「……う……」
震える指先が不器用にベルトを引っ張るのを感じる。頭は霞み、身体も思うように動かない。
ようやくベルトが外れ、ズボンが無造作に引き下ろされる。
(やめろ……!)
手を払いのけようとするも、力が入らない。指先が冷たく、痺れるようだ。
その時、タチバナが手をうなじのカーラーに伸ばしていることに気づく。
「くそっ、何だよこれ、どうなってんだ…!」
タチバナが不満げに舌打ちする音が聞こえた。
カーラー、それはオメガの命を守る最後の盾。
発情期を迎えるオメガが、無理やり番いにされることを防ぐためのもの。
ハルは今は発情期ではないため噛まれても番いにはならないが、レイプされそうになっているこの状況では、カーラーごときでは身体も矜持も守れない。
「嫌だ…やめろ…」
弱々しく抗うハルの声を無視して、タチバナは手を尻に伸ばす。タチバナの湿った手が尻を這い、ハルは嫌悪感と恐怖で、必死に抵抗する。
「何で濡れてねぇんだよ…!!」
忌々しげに唸りながら、タチバナは手に唾を吐き、それをハルの尻穴周辺になすりつける。
「やだ…!いやだ…!!」
ハルの必死の抵抗も、成人したアルファであるタチバナの腕力にねじ伏せられる。
決死の思いで脚を振り上げ、タチバナを蹴り飛ばそうとしたその瞬間――
バツン!
拳が容赦なく頭部に叩き込まれる。
目の前が白くなり、響く痛みと恐怖。成人男性の暴力に抗う術もなく、全身が萎縮する。
「うるせえっ!黙ってろ!」
狭いトイレ個室の中、響く物音。壁やドアに身体がぶつかり、器物破損しそうな勢いだったが、興奮したタチバナは脇目も振らず、目の前のオメガを組み敷くことだけを考えていた。
タチバナは自身の男根にも唾を塗りつけると、ハルの背後にその凶器を押し付ける。
(いやだ……!誰か……!助けて!!)
必死の思いで心の中で叫ぶ。だが、狭い空間にはその声すら届かなかった。
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