ラッキーノート

ブックリーマン

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4 緊張の糸

ピリピリの自習室

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季節は流れ、最後の追い込み冬期講習が始まっていた。
時々会ったり、LINEで会話はしていたもののえまとマコトの関係は平行線のまま。
しかし、いまは目の前の受験に向き合わなければいけない。

とにかく志望大学を目指して頑張る二人であった。

そんな二人が、予備校の自習室で久しぶりに顔を合わせた。

「マコト君、久しぶり」
えまが先に声をかけた。

「あ、えまー。久しぶり!」
マコトは顔をあげた。

「となり良い?」
ちょうどマコトの左隣の席が開いていた。
「もちろん!どーぞ。」
マコトは左に積み上げていたテキストと辞書を右手側に移動させた。
えまと少しでも話しやすいように、壁を作りたくなかった。

「ありがとう」
そういうと、上着を脱ぎ椅子にかけて鞄からテキストと筆記用具を出しながら話を続けた。

「もう年末だね。受験いよいよって感じ。自習室も緊張感あるよね」
「そうだね。」
と言いながらマコトもあたりを見渡した。

周囲も相当ピリピリしている。
えまも、マコトも緊張感がなかったわけではない。
会えたのが久しぶりでもあったため、話が弾んでしまった。

そんなにうるさくしたつもりはなかった。
しかしすっかり話し込んでいた。
すると、二人のすぐ右隣の生徒が突然大声を上げた。

「わぁぁぁぁぁーーーーーー」
「うるせぇーーーーーーーー」

叫びながら机のテキストや文房具を手で払った。
マコトとえまの机まで飛んできた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー」

生徒は叫びながら頭を抱えてうずくまってしまった。

騒然となった自習室だったが、
すぐに予備校のチューターも駆けつけて生徒は連れていかれた。

えまはまだ突然の出来事にひきつった顔をしていた。

「びっくりしたね」
「大丈夫?」
マコトは机に飛んできた隣の生徒のテキストと自分のテキストを分けながら、えまのことも気遣った。

「うん、、、私たちがうるさかったのかな」
「ちょっとしゃべり過ぎちゃったね」

自習室でピリピリしている中、会話に盛り上がってしまった僕らも悪かった。
大切な時期だ。彼の気持ちがわからないでもない。

反省もしながら、その日は早々と家路につくことにした。
自分たちが受験生であること。あと数日で年が変わってしまえばもうすぐ本番の試験が始まる。

平常心を取り戻して試験に臨まなければいけないと、気持ちを切り替えるマコトであった。
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