ラッキーノート

ブックリーマン

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パッとしない季節

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一昨日梅雨入りが発表された。

夏に大きく実るための栄養分を体いっぱいに吸収して、その時を待つ季節。
天候はパッとしないが、植物にとっては大事な時期である。

パッとしない成績ではあったが、いまは焦ってはいけない大事な時期。
夏に実りたいのはマコトも一緒であった。


「えーっと、マコトさんの志望大学は、青葉大学ですね。」

マコト専用の面談記録だろうか。
こまめな性格なのだろう、きれいにファイリングされている。
確認しながら彼女は話を続けた。

「前回の模擬試験は、難しかったですかね?」

マコトは、勉強不足を指摘されているようで居たたまれない。

「そーですねぇ、、、」

続ける言葉に迷う。

「一応この時期は、高校3年生の子たちも受けるので、
1・2年の総復習みたいな問題が多いんですが、、、」

同席した母は、彼女の話を静かに、うなずきを入れながら聞いていた。
静かなうなずきが、マコトにのしかかってくる。

「まぁ夏ごろまでは、基礎学力を固める時期ですので、
点数が取れなかったところは復習しておきましょうね。」
「不明点は各教科の先生たちに質問もできますから!」

その後、夏期講習の説明や、今後の学習計画の説明が続いた。

はぁ、とため息が出そうだったが、ぐっと飲み込んだ。
ため息なんてついている場合ではないことくらい、自分でもわかっている。

「まだ始まったばかりです。頑張っていきましょう!」

彼女は深々とお辞儀をし、僕ら親子を見送ると次の親子を迎える準備に入った。


会場を後にする母の顔を見ないよう、先を歩いた。

この後、どんな言葉を浴びせられるのだろうか。
想像しただけで憂鬱な気分になるが、マコトは覚悟を決めた。

「あらっ。」
「ねぇーあれ、えまちゃんじゃない?」

母は先をいく僕の肩をトントンとたたいた。
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