93 / 122
32 ちゃんと見て
しおりを挟む手をベッドに縫い付けられる。――――とはこれかと実感した。
「ッハ、んん……っ」
腕を通しただけとなった部屋着のシャツは胸を惜しげもなく見せるように広がり、その胸は厚い胸板によって押し潰されている。
程よく重くて、程よく苦しく、―――気持ちがいい。
唾液と舌が交わる音と、体がシーツの上で身動いで出る衣擦れの音が暗い寝室に微かに響く。
この部屋で、この暗さのなか、たくさんキスをされた。
そのキスだって嬉しかった。嬉しくて嬉しくて、切なかった。
でも今、嬉しさしかないキスをされている。
その多幸感が自分を縫い留める大きな手に伝わるように強く握った。
「レナッ……さ、まぁ…」
「アンナ、あーんってして?」
「な、んで…?」
「俺を舐めてくれるアンナの舌が見たい」
「…ん、ぁ」
一瞬わけがわからなくなったが溶けかけている頭は言われた通り口の中を見せてしまう。
おずおずと小さく開けると、恍惚とした笑みでソコを見つめてくる。
「あぁ……舌、薄くて、赤くて、濡れてて……可愛い」
「へぁーぉ…ヒャは……ンンゥ!」
開けた口の中にまた舌が突っ込まれた。
熱くぬるつく舌が口内を蠢くことがこんなにも気持ちいいだなんて。“スズ先生”の作品にもキスの描写は数多あったけど、実際に体験すると全然違う。
「ッン、……んぅぅっ、ッ、フッ、ん」
いい子いい子と撫でるように上顎を舐められる。
舌同士が絡み合ってクチュクチュと音を出す。
舌を吸って扱かれてジュルジュルと音を出す。
銀糸が2つの舌を繋ぎ、切れないうちにまた絡む。
貪り、貪られるようなキスを止めたくなくて、止まらなくて、耽溺する。
「ハッ、ァ……っふぁ……」
軽く吸い上げるようなキスを最後に唇が離れた。
だが少しでも頭を起こせばまたすぐに触れ合える距離。視界には熱すぎる熱を映すライムグリーンの瞳。
長い時間したというのにもうキスがしたいと思ってしまう。
「目が欲しがってる…可愛い」
「くちの、なか……あつく、なるの…」
「口の中、熱くなるの、好き?」
「すき……、レナード様に、熱くしてもらうの……好き……」
「あぁぁぁ……」
レナード様が顔を手で隠しながら天を仰ぐのを、キスで惚けた表情のまま見つめた。
なんだか余裕のないレナード様が可愛い。
「アンナ、声を我慢しないと約束して?できる?」
「んっ……でき、る」
「いい子」
甘い声を甘い眼差しと共に浴びる。
声を我慢しなかったら、また褒めてくれるかな?褒めてほしいな。
もっと甘えさせてほしいな。…甘やかしてほしいな。
「ヒャァッ!」
レナード様の唇が耳に触れては舐め、首に触れては舐めていく。
我慢するなと言われたけれど、そもそも声を我慢すること自体できないほど齎されるものすべてが気持ちいい。
羞恥などとうに忘れ、あるのは際限ない渇望だけだ。
そうして首を舐めた唇が鎖骨へと移り、尖りきっている乳首へと向かう。
「――――…ヒウッ!」
乳輪どころか胸の柔肉ごと、レナード様の口内へと吸い込まれた。そして熱くぬるついている口内で蠢いている舌が敏感な乳首を舐めては吸い、転がしては舐め、吸っては転がしていく。
「ッア、……っぁ、アァ……っんゅ」
縫い付けられた手は解放され、太い指は外気に晒されているもう片方の突起を押し潰している。
触れられ、舐められているのは胸なのに子宮がキュンキュンと締め付けられる。
「レ、レナッ…ぁ、さまっ………ヒャ、ぁ」
「眠った俺はこんなことをアンナにしたか?」
固く尖った乳首を舌先で転がし遊びながら、上目遣いで聞いてきた。
その表情が、いや先程から全てが淫靡で妖艶だ。そう思ってまた子宮が跳ねたように締め付けられた。
「アンナ、胸を舐められたのは俺が初めて?」
「んっ、ン……っひゃ、ぁ」
「…教えて?」
「ン、っ……ちょ、ちょっ……と、だけぇ…」
ほんとはちょっとどころじゃない。ガッツリされていた。
だけどそれを正直に言ったらまたレナード様は自分に嫉妬してしまうだろう。
だけど私が吐いた少しの嘘を、レナード様は容易く見抜いたらしく乳首を舐めながら眇めた表情で私を見る。
「でもアンナ。ちょっとだけ胸を舐められた割には、あまりに反応が良すぎるな?」
「っ、ちがっ……」
「違う?じゃあこれは?」
「ヒャゥッ!」
尖り切った乳首を太い指先がカリカリと掻いていく。
決して強くないその感覚は背筋が震えるような快感を運んできて、意味もなくシーツを蹴ったが空しく衣擦れの音がしただけだった。
「ヒッ、ァ……っ、ぁあ!」
「これも俺にされたか?」
「さっ…れまし、たぁ……!…ッン、ァ、ごめんなさっ、……ッアァ、んぅう、……ぁ、ひっ」
「眠った俺に乳首をこんな敏感にされるほど開発されるだなんて……」
「だ、だって……レ、レナード様が……ッアァ……触って、くれるの、嬉しかったからぁ……!」
レナード様に毎夜触れられることは切なかったけど、嬉しかった。
だからあの行為を止めてほしいなんて思わなかった。
好きな人が、無意識でも、記憶がなくても、自分をまるで愛してくれているかのように触れてくれることが。
――――…だけどそれが現実となった今、「泣きそうなほど」という表現では足りないほどに嬉しい。
「可愛いことを言ってくれても…………やはり嫉妬がおさまらないな」
そう言うと愉しそうに両胸をギュッと寄せ、両方の先端を一気に頬張ってきた。
「――――…ヒアアァ!」
食べられている。胸を一気に。
そう思った。
4
🌟マシュマロ🌟ご質問・ご感想お待ちしてます(*'ω'*)
お気に入りに追加
1,173
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる