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 ダメだあああああ!!!!③

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衝動のままにしがみついたのは、まるで太い幹のような筋力逞しい体。
そして私の言葉に被さるように聞こえたのは明らかに男性の声。


―――――――だけどレナード様の声じゃない。




誰かがベッドに飛び乗ったようなスプリングの音がした後すぐに静寂が訪れた。

「…?」

一体何が起こったのか、そして一体何をしたのか、混乱しすぎてよくわからないまま屈強な体の後ろから顔を出した途端、目を見張った。





護衛さんがソフィー様にキス………というより覆いかぶさって唇を貪っていたのだ。




そう、貪っている、という表現が正しい。
眠っていて抵抗できないことをいいことに、少人数ながら衆人環視の中、しかもキスの相手の母親がいる前で、護衛さんがソフィー様にめちゃくちゃにキスをしまくっている。

「……」

もはや誰1人として動くことはできず、言葉を発することもなく、ただ茫然とそのキスに見入ってしまっていた。

「っ」

すると上掛けから出ていたソフィー様の手がピクリと動いた。
それを合図にキスは深いものとなったらしく、時折チュ、クチュッ、と唾液が交わる音がする。

「っ、ん……ンンッ!?」

あ、ソフィー様起きた。

「ちょっ、…ゥンンッ、フ……っ!?」

誰もが想像していた「目覚めのキス」とはあまりにかけ離れている。
だって護衛さんの下でソフィー様が割と本気で藻掻いているのだ。だがひ弱なお嬢様が細身とはいえ護衛さんに敵うはずもなく、むしろこの寝室にはキスの際に奏でられる水音とソフィー様の結構本気なくぐもった抵抗の声が響いている。

「ゃ、っん、……っや……ンッ、ぅ」

少々艶めかしいが本気の制止の言葉を発しているのだが、護衛さんはそれを容易く無視している。
ゴンゴンと小さな拳が護衛さんの背中を叩いているが、むしろそれに興奮したようにさらにキスが深くなったのが傍目からでもわかった。

「ゃ、っ、…ン、~~~~っ゛!」

本気でバタついているソフィー様を見て、ここでようやく事態を正確に把握し、危機感を覚えてしがみついていた体を押しのけようとした途端、――――ゴンッ、となんとも鈍い音がした。
それはシャーリー様の細い腕からは想像もできないほどに重々しい音、護衛さんの頭を殴った音だった。



「なげぇよ」


「……はい」


それまでの妖艶で洗練されたシャーリー様からは想像もつかないほどドスの効いた声に、思わず護衛さんが小さく返事をした。
そして護衛さんという重石が退いたからなのか、白い額に青筋を立てているソフィー様の細く小さな手が躊躇いもなく護衛さんの首を絞めた。

「おいこら、駄犬。何許可なくあたしの寝込みを襲ってんだ。やめろっつってんのにそれも聞かねぇで、脳みそ入ってんのか」
「わぁ…♡お嬢様起き抜けに激しい…♡」
「悦ぶな、ドМの駄犬が」




んんん???






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